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2020年11月27日 (金)

4話連続シリーズ「8億円の保険金にかかる税金をなんとかしてください!」④

④誰もがプロと思ったら大間違い

 

保険金による8億円利益対策として進めていた、

“年金受け取り払い”の特約締結に対して、

「うちの保険商品ではそんなことできません。聞いたことがない!」

と言っていた保険屋も、ついにその存在を認め、

すべての保険契約に対して、特約締結を進めることとなりました。

 

「どんな感じで分割して受け取れるんですか?」

私も実際に経験したことのない例だったので、

手続きを進めている長谷川会長に尋ねてみました。

「保険会社によって分割年数が異なりますが、

 聞いていたとおり、最大で30年間にわたって分割で、

 毎年受け取れるようになっていますね。」

「30年は、今回の場合でも、長すぎますね。」

「そうなんですよ。」

「結局、何年で分割されるんですか?」

「どの保険金も10年分割にしました。」

「ということは、毎年8千万円ずつですね。」

「そうです。その程度の利益額なら、

あらかじめわかっていれば、対策は打てると思いますので。」

 

実務的なことに関しても聞いてみました。

「書類への記載とか捺印とか、簡単なんですか?」

「いやもうほんとに簡単です。

 何年で分割するか、選択肢があるので、

10年分割なら10年のところを丸で囲んで1ケ所だけ捺印する、

というパターンの書式がほとんどでした。」

「あとは担当者に渡すか郵送ですか?」

「そうです。うちの場合は全部、担当者に手渡す形です。」

「もう全部そろったんでしょうか?」

「それが、遅れて進めたうちの1社がまだなんです。」

そんな特約はない!と言っていた保険会社だけ、

手続きが若干遅れていたのです。

 

その数日後に、“年金受け取り払い”の手続きは完了しました。

とりあえずこれで一安心、と思っていた3週間後に、

長谷川会長から連絡が入りました。

「社長が亡くなりました。」

「えっ!山下社長、亡くなられたんですか!

 余命半年までって、まだあれから2ケ月半くらいですよ!」

「病状が急変したらしいです。」

いったん難しい病魔に蝕まれると、

その先は、ほんとにいつどうなるか、わからないものなのです。

 

お悔やみをお伝えしていると、

長谷川会長が悲しみをこらえながらも、おっしゃりました。

「ありがとうございます。

 山下社長のことは悲しくつらいことなのですが、

 保険金の対応を完了させることができていて、

 それはそれでよかったと思っています。

 ありがとうございました。」

つらいお気持ちのなか、感謝のことばを述べられる会長の様子に、

こちらも涙がこみ上げてきました。

 

もし、亡くなるまで半年あるからそれまでに終えておけばいい、

という気持ちで取り組んでいたら、

“年金受け取り払い”の締結は、間に合わなかったのです。

すぐに動き、保険会社の担当者を急かして進めたのが、

功を奏した形となりました。

 

併せて、保険会社の担当者といえば、

保険のプロだから保険のことならなんでも知っている、

と思ったら大間違いなのです。

保険に関わる税務知識や、詳しい商品知識をお持ちの方は、

保険販売関係者でも、ごくわずかしか、おられないのです。

 

役員の生命保険を活用している中小企業は多いです。

その多くは、ピーク時に解約する、ということを想定しています。

しかし、生命保険は本来、死亡時の保険金を受けとる、

という商品です。

誰しも、病気に関わらず、命を突然失うこともあるのです。

そうなると、多額の保険金が一気に利益計上されます。

残された者は、予想外の税金対応に追われます。

その予防策として、

“年金受け取り払い”という特約をぜひ、

知っていただき、活用してほしいのです。

 

今回の事例の西日本商品企画(仮名)では、今も毎年、

亡き山下社長からの贈り物のように、

8千万円の保険金が利益計上されているのです。

 

(古山喜章)

2020年11月26日 (木)

4話連続シリーズ「8億円の保険金にかかる税金をなんとかしてください!」③

③「うちの保険商品はそんなことできません」と断る保険屋たち

 

「8億円の利益を分散させるなんて、簡単ですよ。」

と、法人保険プロフェッショナルの豊田氏から教えてもらった、

年金受け取り払いの特約を各保険会社と結ぶべく、

西日本商品企画(仮名)のオーナー、長谷川会長が動き始めました。

8億円の生命保険は、

6社の保険会社に対して、10本の契約に分かれていたのです。

「では、各保険会社の担当者に連絡して、

 “年金受け取り払い”の特約手続きを進めます!」

 

数日後、長谷川会長から電話連絡が入りました。

「進み具合はどうですか?」

こちらから伺ってみました。

「6社に連絡して、すんなり進むところが1社もないです。」

「どういうことですか?」

「4社は、いったん調べてから連絡します、で連絡待ちです。

 あとの2社は、

 “うちの保険商品ではそんなことできません。聞いたことがない。”

 て言うんですよ。

 どうしましょうか?」

 

豊田氏から伺っていたとおり、この特約自体、

ほとんどの保険セールスの人が知らないのです。

「じゃあ、調べますと言っていた4社は、とりあえず待つものの、

 今日から3日経っても連絡なければ、

 こちらから連絡して、状況を聞いてみてください。

 先方は何もせず、そのまま放置している可能性もありますので。」

「わかりました。

 あと、そんなことはできないと言っている2社は、どうしましょう?」

「もう一度連絡して、

 『他の保険代理店の方からも、“ないはずはない、絶対にあるはずです”

  と聞いているから、もう一度調べてください。

  してくれないなら、今後おたくとはつきあいません。

  他の保険会社も調べてくれていますよ。』

 と、強めに言ってください。」

「わかりました。連絡してみます。」

 

そして数日後、またもや長谷川会長から電話連絡が入りました。

「おかげさまで、

結局6社とも、“年金受け取り払い”の特約がある、

 ということがわかりました!」

「そうですか!よかったですね。」

「そんな特約はない、と言っていた保険屋も、

 調べてくれないならもう付き合わない!と言ったらようやく調べて、

 “申し訳ないです。ありました。”

 とお詫びかたがた連絡がきました!」

とのことだったのです。

 

結局、保険販売を取り扱う人も、売ることだけで、

税務に対する知識や、契約後の特約など、

知らない方が多いのです。

そのような方々に任せていると、

“年金受け取り払い”の特約など、わからないままなのです。

そしていよいよ、

保険会社6社との特約を、締結することになったのです。

その間も、余命半年の告知を受けた、社長の病魔は進行していたのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年11月25日 (水)

4話連続シリーズ「8億円の保険金にかかる税金をなんとかしてください!」②

②8億円の利益を分散させるなんて、簡単ですよ

 

「うちの社長が余命半年の診断を受けたんです。」

西日本商品企画(仮名)のオーナー、長谷川会長から連絡が入りました。

しかも、長谷川会長の心配事はそれだけではありませんでした。

その後の保険金受取によって発生する、

予想外の高額な営業外利益にも、大きく頭を悩ませていたのです。

「8億円の保険金にかかる税金を、なんとかしたいんです!」

 

会長からの切実な悩みをお聞きし、

法人生命保険専門のプロフェッショナル人材、

豊田氏(仮名)に相談したのです。

すると、即座に意外な言葉が返ってきたのです。

「8億円の利益を分散させるなんて、簡単ですよ。」

あまりにさらっと答えるので、

聞いているこちらが拍子抜けしてしまうほどでした。

「えっ、そうなんですか?どんな方法があるんですか?」

と、豊田氏にたずねました。

 

「年金受け取り払いの契約を、今から結べばいいんですよ。」

「なんですか、それは?」

「その8億円は、死亡時に受け取る保険金ですよね?」

「そうです。」

「その場合、その受け取る保険金を、

最大30年にわたって均等割りして受け取れるんです。

それが、年金受け取り払い、という特約です。」

 

“年金受け取り払い”とは、聞いたことのない言葉だったので、

素朴な疑問を投げかけました。

「すでに契約している保険で、そんなことできるんですか?」

「この特約は、契約時には結べない特約なんです。

 いったん契約が成立した後でしか、結べません。」

「とはいえ、

もう余命半年の診断がされていて、いまさらできるんですか?」

「亡くなる前日までに、

捺印した書類1枚を保険会社に提出できれば、大丈夫ですよ。」

「どの保険会社でも、“年金受け取り払い”の特約はあるんですか?」

「役員対象の生命保険なら、必ずありますよ。」

 

つまり、8億円の保険金を、10年、15年などと、

分散して均等に受け取る方法が、年金受け取り払いです。

確かにそうすれば、一気に利益計上することなく、

合法的に複数年度に利益を分散させることができるのです。

 

「しかし、それならそうと、どうして保険会社の人は、

 長谷川会長にそのことを教えないんですか?」

さらに豊田氏にお聞きしました。

「たぶんですけど、

 これは保険契約後にしか結べない特約なので、

 セールス目的だけの保険屋だと、この特約のことを、

 そもそも知らない人もいるんですよ。

 そうか、知っていても、いったん契約してしまえばそれだけで

 手数料が入るので、あまり真剣に考えていないんじゃないですかね。」

 

なるほど、と感心しながら早速、長谷川会長に連絡したのです。

「そんな方法があるんですか!ありがとうございます!」

伝えたとたんに、安堵と喜びの声に変ったのです。

しかし、8億円の保険金となると、

その契約は1本の契約ではありません。

調べると、6社の保険会社に対して、10本の契約に分かれていたのです。

「では、各保険の担当者に連絡して、

 “年金受け取り払い”の特約手続きを進めます!」

 

タイムリミットが迫る中、

長谷川会長は、各保険会社の担当者に連絡を取り始めたのです。

すると案の定、

すんなりとはいかない、新たな壁にぶつかったのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年11月24日 (火)

4話連続シリーズ「8億円の保険金にかかる税金をなんとかしてください!」①

①うちの社長が余命半年の診断を受けました!

 

まもなく桜の季節を迎えようとする頃、

中四国地区で雑貨品のファブレスメーカーを営む、

西日本商品企画(仮名)のオーナー、長谷川会長から連絡が入りました。

「ちょっとどうしたらよいかわからなくて、連絡しました。」

「いったいどうしたんですか?」

慌てた雰囲気に、ただならぬ気配を感じました。

「うちの社長が余命半年の診断を受けたんです。」

「えっ!山下社長がですか?」

「そうなんです。」

 

長谷川会長は同族に社長をさせない、珍しいタイプの経営者なのです。

なので、そのとき代表取締役であった山下社長は、

西日本商品企画の生え抜きの優秀な社員だったのです。

その山下社長がガンになり、余命半年の診断を受けたのです。

結果が出てまもなく、

本人にも告知がされ、即入院となったのです。

 

「本人の病状も心配ですけど、

今後の会社の体制をどうするのか、今から大変ですね。」

あまりに急な展開における、

次期体制のことでの相談かと思い、長谷川会長に言葉を投げかけました。

すると、会長から返ってきたのは、意外な言葉でした。

「もちろん、本人の病状も心配です。

 それに、次の体制は、別の人材でなんとかなりそうなんです。」

長谷川会長は、同族後継者人材が不在の会社なので、

日ごろから経営マインドをもった人材育成に力を注いでおられたのです。

「実はもうひとつ、頭がいたいことがあるんです。」

「なんですか?」

「山下社長には長年、役員生命保険をかけてきました。

 病気による死亡の場合、8億円の保険金が入ってくるんです。」

「8億円ですか!それは大きい金額ですね。」

「そうなんです。うちの年間の課税利益はいま、2億円前後です。

 それが一気に8億円もプラスになったら、

 法人税で4億円以上、消えてなくなることになるんです。

 8億円の保険金にかかる税金を、なんとかしたいんです!」

 

死亡保険金を会社が受け取ると、それは営業外利益に計上されます。

税務上、益金として計上されるのです。

通常の課税利益2億円とあわせて、約10億円です。

そうなると、税金で4億円~5億円近く、支払うこととなります。

そんな無意味なキャッシュアウトはしたくない、

との思いから、なんとかできる術がないものかと、

我々に連絡されたのです。

 

生命保険で会社に入ってくる8億円を、

どうにかして税金が減る形で処理できないのか。

とはいえ、私たちも生命保険の知識を豊富に備えている、

というわけではありません。

しかし幸いにも、法人専門で対応する、

保険商品販売のプロフェッショナルな人物とのネットワークはあります。

その人物に、まずは相談してみたのです。

すると、「そんなことができるんですか?」という、

進むべき方向が見えてきたのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年11月20日 (金)

決算対策その5

12月決算の会社はまもなく、

3月決算の会社もあと3ヶ月ほどで、決算を迎えます。

 

これまで何度となく決算対策のお話をしていますが、

改めて税務面での決算対策についてまとめます。

 

次に、お金の支払を伴った節税、

つまり、いかに支払ったお金を経費として落とすか?の話です。

 

6.定率法を採用する

 

減価償却の方法は、主に定額法か定率法。

定率法を採用したほうが、取得当初の

減価償却費を大きく計上できる。ちなみに、

建物、建物附属設備、構築物は定額法である。

 

 

7.複数の資産を一括で取得した場合に、

耐用年数の短い資産の割合を増やす

 

例えば、土地付建物であれば、減価償却が

できない土地の割合を減らし、建物を増やす。

建物より、耐用年数が短い建物附属設備、

機械、備品などの割合を増やすことを考える。

 

 

8.新規で取得した固定資産の耐用年数が

適切に(短く)設定されているか確認する

 

税理士事務所に任せると、耐用年数が長く

設定されることがあるため、注意が必要。

前期以前のものを修正することは不可。

 

 

9.交際費ではなく会議費で計上する

 

会議議事録を作成する。1人あたりが、

5,000円以上でも会議の実態があれば、

会議費として認められる。

手土産代=「打合せ茶菓子代」なら、会議費。

 

 

10.広告宣伝費として落とす

 

ホームページ、SNSYoutubeなどのIT投資。

優秀なデザイナーに外注し、

付加価値を高めるための投資をしてゆくべき。

 

(福岡雄吉郎)

2020年11月19日 (木)

決算対策その4

12月決算の会社はまもなく、

3月決算の会社もあと3ヶ月ほどで、決算を迎えます。

 

これまで何度となく決算対策のお話をしていますが、

改めて税務面での決算対策についてまとめます。

 

次に、お金の支払を伴った節税、

つまり、いかに支払ったお金を経費として落とすか?の話です。

 

1.30万円未満の備品等は、損金に落とす

 

「少額減価償却資産」と呼ばれる処理。

見積書、請求書を”~一式”とせず、細分化。

ただし、年間300万円までが限度。

 

 

2.即時償却を行う(R3.3月末まで)

生産性をあげる投資(A型)

収益力を向上させる(B型)

に加えて、新たにC型が設置

対象設備は、下記いずれかを実現するもの。

①遠隔操作 ②可視化 ③自動制御化

 

 

3.特別償却を行う(R3.3月末まで)

使い勝手がよい特別償却は、

・中小企業投資促進税制

・商業サービス業農林水産業活性化税制

いずれも、取得金額の30%を特別償却として上乗せできる

 

 

4.中古資産

中古資産の耐用年数は、下記の通り。

(法定年数-経過年数)+(経過年数×20%)

最も短くて、「2年」となる。定率法を採用して、

期首から使うのであれば、購入金額の全額が損金計上できる。

 

 

5.修繕費で落とす

「原状回復、維持管理」に該当すれば修繕費。

見積書、請求書等をそのようにしてもらう。

ただし、全くのでっち上げは当然NG

 

(福岡雄吉郎)

2020年11月18日 (水)

決算対策その3

12月決算の会社はまもなく、

3月決算の会社もあと3ヶ月ほどで、決算を迎えます。

 

これまで何度となく決算対策のお話をしていますが、

改めて税務面での決算対策についてまとめます。

 

節税には、お金の支払を伴う節税と、

お金の支払を伴わない節税があります。

 

まず考えるべきなのは、

お金の支払を伴わない節税です。

 

10.使わない設備等は、「今後使わない」と

いう意思決定のもとで、”有姿除却”(ゆうしじょきゃく)する

 

・使用廃止、今後通常の方法で使わない

 

・金型等で、使用される可能性がとても低い

取締役会議事録で、「今後使わない」と決議

 

 

11.電話加入権を売却し売却損を計上する

 

・売却先は、グループ会社または社長個人

 

NTT116」に電話して、

 ”電話加入権譲渡承認請求書”を申請する。

 

11,500円程度で、譲渡契約書を交わすこと

 

 

12.未払給料を計上する(従業員)

決算賞与を未払計上する

 

例えば、15日締めの場合は、半月分が、

未払として計上できる(役員報酬は対象外)。

 

13.請求締日未到来の未払費用を計上する

(例)リベートの未払い計上

 

(福岡雄吉郎)

2020年11月17日 (火)

決算対策その2

12月決算の会社はまもなく、

3月決算の会社もあと3ヶ月ほどで、決算を迎えます。

 

これまで何度となく決算対策のお話をしていますが、

改めて税務面での決算対策についてまとめます。

 

節税には、お金の支払を伴う節税と、

お金の支払を伴わない節税があります。

 

まず考えるべきなのは、

お金の支払を伴わない節税です。

 

6.貯蔵品(消耗品等)は、損金で落とす

 

・毎期、同じように使うのであれば許容される

 

・ただし、期末に一括購入は注意する

 (法人税法基本通達 2-2-15 参照)

 

 

7.貸付金(特に子会社に対するもの)で、

回収できないものは貸倒処理する

 

・支援をしなければ今後より大きな損失を被る

 

・子会社の倒産回避のため、やむを得ず行う

もので、合理的な再建計画に基づく場合

 

・もしくは、子会社を潰す(特別清算)方法も。

 

 

8.業績が悪い子会社株式は、評価損を計上する

 

1株当たり純資産価額が取得時の50%以下で、

近い将来その価額の回復が見込めない場合

 

9.固定資産台帳を見直し、帳簿にあって、

現実にないものは、除却損を計上する

 

社歴が古い会社ほど、注意が必要。

管理がおざなりの会社だと、そもそも、

固定資産台帳の作成が不正確になっている。

 

(福岡雄吉郎)

2020年11月16日 (月)

決算対策 1

12月決算の会社はまもなく、

3月決算の会社もあと3ヶ月ほどで、決算を迎えます。

 

これまで何度となく決算対策のお話をしていますが、

改めて税務面での決算対策についてまとめます。

 

節税には、お金の支払を伴う節税と、

お金の支払を伴わない節税があります。

 

まず考えるべきなのは、お金の支払を伴わない節税です。

 

1.売掛金、未収金等で回収不可なら、損金(貸倒)処理する

 

・相手先別に残高をチェックして、

 前期末と当期末の残高が同じものは注意。

 

・「努力しても回収できない」という証拠集め

 を徹底して行うこと(電話、訪問、書面)。

 

 

2.売上債権等に対して、「貸倒引当金」を計上する

 

・債権額の1%程度が損金処理できる (ただし、業種で異なる)

 

・回収サイトが長い会社は使いたい

 

・対象は、未収金、貸付金等も含まれる

 

 

3.原材料、仕掛品、製品などで、動きのない在庫は、安く売却する、もしくは、廃棄する

 

・アイテム別に残高をチェックして、前期末と当期末の残高が同額のものに注意。

廃棄が嫌なら子会社への売却を検討する。

 

 

4.在庫評価について、低価法の届出を行う

評価損を行わず、帳簿価格から時価まで評価を落とすことができる。

 

5.特に製品に関して、原価割れでしか売れないのは、評価損として落とす

・季節商品の売れ残り

・新製品発売による型落ち

※破損、型崩れ、棚ざらし、品質変化は対象外

 

(福岡雄吉郎)

2020年11月13日 (金)

5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」⑤

⑤これぞ真実の“倍返し!”です

 

「関東中央銀行に26億円を振り込む、エックスデーを決めましょうか。」

牧野専務の掛け声のもと、いよいよ、

関東中央銀行をメインバンクの座から引きずり下ろす、

作戦決行日を決めるときがきました。

 

「来月の15日に実行で、よろしいでしょうか?」

居酒屋での密談の場で、

牧野専務は4人の若手銀行マンに問いかけました。

「了解いたしました。よろしくお願いいたします。」

全員一致で決まりました。

その日の朝イチで、各4銀行が牧野建材の口座に、

新たな融資額を入金します。合計で26億円です。

そして、あることを確認したあと、

その全額を、関東中央銀行の口座に振り込み、一気に返済するのです。

 

「返金前に、なにを確認するんですか?」

牧野専務に伺いました。

「関東中央銀行からの入金です。」

「どういうことですか?」

「いま、関東中央銀行の本店が建て替え工事をしていて、

 その工事の建材に、うちの商品を納品しているんです。

 その最後の入金が、来月の15日なんです。」

「なるほど。その入金を確認したあと、26億円を返金するんですね。」

「そうです。新しい本店ビルの柱の数本は、

うちから吸い取った高金利でまかなっているんですから。

それくらいしいないと、社長も私も気がすみません。」

 

ここまでくれば、たいした執念です。

集めた26億円をただ返すのではなく、いかにすれば、

自分たちが経験した悔しい思いをさらに上回る、

瞬時に凍りつく恐怖と後悔に溺れさせることができるのか、

を考えて決めたのが、その日だったのです。

銀行本店建て替えへの建材販売の売掛金回収完了次第、返金し、

自分たちをいじめた銀行担当者たちを青ざめさせる、

というシナリオだったのです。

まさに、これぞ真実の“倍がえし!”なのです。

 

そして滞りなく、

打倒!関東中央銀行5人組の作戦が実行されました。

当然、役員を筆頭に、関東中央銀行の面々が、

血相を変えて牧野建材の社長・専務のもとへ飛んできました。

「うちが何をしたというんですか!」

しかし、社長も専務も、これまでの交渉やお願いに対する

関東中央銀行の態度を指摘し、

一部は交渉時の会話を録音した音声まで、その場で流したのです。

そこには、おどしまがいの言葉も残されていたのです。

 

担当者たちは、万事休すです。

その後、担当者はみな、へき地の支店や取引先へと、

異動や出向で、いなくなりました。いわゆる、左遷です。

一方、密談に集まった若手銀行マン4人は、

それぞれの銀行の出世街道にのり、みな、挨拶にやってきました。

 

「牧野専務のおかげです。

銀行員になって、こんな楽しいことはなかったです。

この地域を離れますが、また一緒に仕事ができれば光栄です。」

一様に、そのような挨拶をして、それぞれの赴任場所へと、

去っていったのです。

社員の給与振込口座や各種入出金に使うメインの口座も、

関東中央銀行から、変更となりました。

密談の中、全員が納得した形で、

集まった4行のうちの一つに決まったのです。

 

「メインバンクを変えるなんて!とんでもない!」

と訴えた古参経理担当者も、もはや何も言いませんでした。

しかし二年ほど時を経過したあと、後継者たちにこう言いました。

「お前たちのやったことは正しかった。

 いろいろキツイことを言って、すまなかった。」

その後の決算書の改善具合を見て、その言葉が出てきたのです。

「自分たちでは、こんな決算書にはできなかった。

 よくやってくれた。」

素直にわびて感謝を示してくれたその言葉で、

ながらく抱えていたお互いのわだかまりは、消えてなくなったのです。

 

いかがでしたでしょうか。

メインバンクは変えれるのです。

というよりも、今やメインバンクといっても、

他行となんら違いはないのです。

借入額が大きかったり、中心的な入出金の口座に使っている、

という違いくらいです。

時代遅れのメインバンク面する銀行があれば、

ためらうことなく、本当に長くつきあえそうな他の銀行に、

変えるべきなのです。

その決断のためには、社長や専務といった

中心的な経営幹部が、銀行を取り巻く現状の知識を蓄え、

よき相談相手を見出し、果敢に取り組んでほしいのです。

(終わり)

 

(古山喜章)

2020年11月12日 (木)

5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」④

④古参経理担当の猛反発をくらう

 

牧野専務を筆頭に、地方銀行の若手銀行マン4人を含め、

打倒!関東中央銀行5人組の密談が、

夜な夜な居酒屋で展開されました。

 

牧野専務はその都度、私たちのセミナーで学んだ、

銀行融資の条件を銀行マンたちに伝えました。

「金利はタイボ+スプレッドで0.38%、

 担保・個人保証なしでお願いします。」

各銀行マンたちも

「それは大丈夫です。うちなら7億円までいけます。」

などと、それぞれに融資可能額を密談のなかで

出し合い、4行合計の目標額25億円となるよう、

詰めていったのです。

 

ところがです。そこに思わぬ壁が立ちふさがりました。

牧野建材の古参の経理担当者です。

先代の兄弟にあたる親族で、後継者たちにとっては、

おじさんにあたる人物なのです。

関東中央銀行をメインバンクから外そうとする動きを

かぎつけ、牧野社長と専務を呼び出したのです。

 

「君たちはなんということをしてくれるんだ!

 うちが関東中央銀行にどれだけ助けられたと思ってるんだ!

 そんな不義理なことをしたら、もうどこも貸してくれないぞ!

 お前たちは会社をつぶす気か!!

 メインバンクを変えるなんて、とんでもない!!!」

鬼の形相で後継者たちに詰めよったのです。

 

それを聞いて、私も古参経理担当者に面談し、

いまどきの銀行を取り巻く環境が変わってきていることなど、

丁寧に説明をしました。とはいえ、簡単には引き下がりません。

「そんなことをおっしゃいますけど、

 うちの社員の給与振込口座は全員、関東中央銀行ですよ。

 光熱費などの支払いも、その口座から引き落としですよ。

 その口座を変えたり、どれだけの手間がかかると思ってるんですか!」

と、私にもえらい剣幕だったのです。

しかし、その古参経理担当は、大いなる勘違いをしていたのです。

「えっ?そんなこと、経理でやらなきゃダメだと思ってるんですか?」

「はぁ?そりゃそうでしょ。」

「何を言ってるんですか?そんなこと、銀行が来て全部やってくれますよ。」

「え、そうなんですか?」

「そうですよ。口座獲得数も引き落としの獲得数も、

 銀行員の評価点数になる時代ですよ!

 みんな喜んできますよ。うちは1週間ほど、食堂かどこか、

 関東中央銀行に代わる銀行に、

場所を銀行に貸してあげればいいだけですよ。」

「しかし、メインバンクを変えるなんて、

 他の銀行が貸してくれなかったら、どうするんですか?」

「それは牧野専務がすでに道筋をつけています。

 いまは付き合いで貸す時代ではないんです。

 決算書をベースにした、格付け、スコアリングで貸す時代なんですよ。

 あなたの時代とは、違うんです!」

 

というやりとりがあり、

ようやく、古参経理担当の声を、静めていったのです。

一方、牧野専務率いる、打倒!関東中央銀行5人組の計画は、

着々と進んでいました。

そして、4銀行での割り振り額も決まり、

合計26億円を調達できるメドがついたのです。

 

「じゃあ、関東中央銀行に26億円を振り込む、

 エックスデーを決めましょうか。」

牧野専務の掛け声のもと、いよいよ、

関東中央銀行をメインバンクの座から引きずり下ろす、

作戦決行日が決まったのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年11月11日 (水)

5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」③

③作戦会議は居酒屋で

 

牧野専務が司令官のような形となり、

関東中央銀行をメインバンクから外すべく、

4名の若手銀行マンとの打ち合わせを進めることとなりました。

 

具体的に、関東中央銀行をメインバンクから外すには、

その融資額を返済して、額を減らせばいいのです。

融資額が他行よりも多い、ということだけで、

メインバンク面をしていたのです。

そのときの、

関東中央銀行からの融資額は、約35億円です。

その融資額を、せめて10億円以内にすることを、

目標としたのです。

 

「それだけの額を返すには、関東中央銀行に何か言ったほうが

 よいでしょうか?」

牧野専務から事前に質問を受けていました。

「条件交渉を申し入れただけで、

 “銀行にも考えがある”なんておどしをかけてきたのだから、

 これ以上何も義理立てすることないですよ。

 まとまったお金ができたら、関東中央銀行の口座に振り込んで、

 “お返しします”と言えばいいんですよ。」

「やってみたいですね。どうなるでしょうね。」

「大騒ぎになるのと、

少なくとも担当者はどこかに飛ばされるでしょうね。」

というやりとりを、私と牧野専務でしていたのです。

 

「その4名の銀行マンとは、

どのような形で打ち合わせするんですか?」

改めて牧野専務に質問を投げかけました。

「うちの事務所の近くに、

いい感じの個室のある居酒屋があるんです。

その店に4人を呼んで、作戦会議をしようと考えています。」

「近所の居酒屋ですか!」

「そうです。もうすでに声をかけていて、全員OKです。」

こうして、まるでドラマ「半沢直樹」に登場する、

居酒屋での密談シーンのような打ち合わせが繰り広げられたのです。

 

作戦会議の場に集まる、4名の若手銀行マンは、

みな、異なる地方銀行の出身です。

しかもそれぞれに初対面です。

よくもまあ居酒屋に集めれたな、と感心するのと同時に、

それだけ、“打倒!関東中央銀行!!”の思いを、

各自が持っているのだな、と感じたのです。

 

作戦会議の冒頭、牧野専務は改めて、4人が集まる場で、

確認の言葉を伝えました。

「関東中央銀行からの融資額を減らすには、

 皆さんの協力が必要です。

 ただし、皆さんの銀行からお借りする条件は、

 事前にお伝えしているとおり、

 金利はタイボ+スプレッド、担保・個人保証はなし、

 でお願いしたいのですが、みなさんよろしいでしょうか?」

「問題ありません。すでに内部で了解を得ています。」

居酒屋の個室で、

牧野専務を含め、打倒!関東中央銀行の5人組が、

まさに誓いの盃を交わすような展開となったのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年11月10日 (火)

5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」②

②メインバンクを引きずり下ろしたい、他行の銀行マンたち

 

関東エリアで建築資材卸売業を営む、牧野建材(仮名)でのこと。

最も多くの金額を借り入れ、メインバンクとしていた、

関東中央銀行の融資条件が、最もひどいものだと知った

牧野専務は、行動を起こしました。

 

関東中央銀行の担当者に条件改善を申し入れたものの、

「そんなことを言うのなら、銀行としても考えがあります。」

と、おどしまがいの言葉を浴びせられ、

牧野専務の闘争心に火が付いたのです。

「メインバンクを切り替えろ!」の合言葉のもと、

あらかじめ考えていた、秘策に動き始めたのです。

 

「わが社に新たに営業にきている銀行マンが、二人いるんです。」

と、牧野専務が切り出しました。

「それは、近隣の地方銀行ですか?」

「2行とも、他府県から越境出店している地銀です。」

「なるほど。じゃあ、その銀行マンたちに協力をあおぐおつもりですか?」

「そうなんですよ。

 先生方のご指導で、他府県から越境している銀行は、

 地元の銀行よりもよい条件で動いてもらえる、と伺っていたので。」

 

牧野建材ではすでに融資を受けている地銀が3行ありました。

そのうちの1行が、その地域で一番有力な、関東中央銀行でした。

他の2行も、地元の地銀です。

私は牧野専務に提案しました。

「じゃあ、うちとすでに取引のある2行の銀行マンも、

 加えて考えたらどうですか?」

「なるほど。新しい銀行も加えて、4行の銀行マンを、

 味方につけるわけですね。」

「そうですよ。どの銀行マンも、うちの借入シェアのなかで、

 関東中央銀行の牙城を崩したいに決まっていますよ。

 すでに取引のある銀行なら、なおのこと、

上司からも指示がでているはずですよ。

協力してほしい、と申し入れたら絶対に喜びますよ。」

「その方向で動いてみます!」

 

このようないきさつから、

「関東中央銀行からの融資を一気にどっさり返して、

 うちの借入最大額の座から引きずり下ろしたい。

 協力してもらえますか。」

と、牧野専務は4行の各銀行マンに投げかけました。

4人とも、

「喜んで協力させていただきます!」

と、意気揚々に返事が返ってきたのです。

 

こうして、4行の若手銀行マンを迎えての、

“打倒!関東中央銀行”ともいうべき作戦会議が、

牧野専務の指令のもと、動き始めたのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年11月 9日 (月)

5話連続シリーズ「メインバンクを切り替えろ!」①

関東エリアで建築資材卸売業を営む、牧野建材(仮名)でのことです。

卸売業は、在庫を抱える商売で、売ったあとの回収も長い、

という事業特性があります。

そのため、それなりの資金需要が常についてまわります。

 

ただし、牧野建材は単なる卸売業ではありませんでした。

建築資材の加工もしたうえで、納品していました。

付加価値がある分、ライバルよりも粗利益が高かったのです。

それは、私たちのセミナーで学んだ、

後継者である牧野社長と、弟の牧野専務の功績だったのです。

 

牧野建材は、絶えず数十億円の資金需要があるうえに、

同業他社よりも営業利益が多いのです。

近隣の銀行にすれば、

なんとしてでも融資をしたい、おいしい地元企業のひとつだったのです。

 

ある日、銀行交渉についての私たちのセミナーのあと、

弟の牧野専務から相談がありました。

「うちの借入先は地方銀行3行と政府系1行です。

 メインバンクは地元で一番強い関東中央銀行(仮名)です。

 ところが金利や条件を調べてみたら、

 この銀行が一番悪い条件なんですよ!」

「いままで条件知らなかったんですか?」

「恥ずかしい話し、

これまで、先代の社長とその時代の経理担当で銀行交渉を

仕切っていたので、我々後継者は、わからなかったんです。」

 

借入金の総額は、約60億円です。

内訳をみると、関東中央銀行からの融資額が約35億円、

政府系銀行が約10億円、

あと15億円を、他の地方銀行から調達している、

といった状況でした。

 

牧野専務いわく、

「関東中央銀行は金利が一番高い上に、借入額が一番多いんですよ。」

「どうしてそんなことになっているんですか?」

「結局、先代社長や古参の経理担当には、

 かつて関東中央銀行に助けてもらった、という恩義があるらしいのと、

 ここが貸してくれるから今のわが社がある、

 と思いこんでいたんですよ。」

「典型的な、銀行サマサマ病ですね。」

「そうなんですよ…。」

「で、どうしたんですか?」

「まずは代がわりしたので、改めて関東中央銀行に交渉しました。」

「何を交渉したんですか?」

「金利をタイボ+スプレッドに変えて下げることと、

 担保・個人保証を外すことです。」

 

そのときの条件は、

固定金利1.85%、担保・個人保証あり、だったのです。

牧野建材の自己資本比率は約15%でした。

その当時の金利相場でいえば、1%を切るのは当たり前、

0.7%が平均くらいだったのです。

平均よりも1%以上、高い金利だったのです。

融資額が35億円なので、4千万円近く、

無駄な高金利を払っていたのです。

 

「で、交渉してどうだったんですか?」牧野専務に尋ねました。

「“そんなこというなら、うちにも考えがあります。”

 て担当者から言われて、ムカッときたので、

 “おどしですか”と言い返しました。」

理不尽ないことを言われると熱くなる、

牧野専務の性格に火がついた瞬間でした。

 

「関東中央銀行を、

メインバンクから外しても構わないでしょうか?」

「ぜんぜん構わない。いまどきメインバンクといっても、

 融資額のシェアが大きいだけで、なんの役にも立たないでしょ。

 実際、条件は最悪なんだから。」

「そうですよね。安心しました。

 メインバンクを切りはずす方向で、動いてゆきます。」

牧野専務は社長にも了解をとったうえで、

メインバンクである関東中央銀行からの融資を切り外すべく、

動き出しました。

牧野専務には、密かに描いている、秘策があったのです。

(続く…)

 

(古山喜章)

2020年11月 6日 (金)

株式は怖い④

株式の譲渡承認について、知られていないのが、

「取締役会の譲渡承認がなくても、

株主Aさんから、Bさんへの株式譲渡(売却)は、有効である」

ということです。

 

会社からすると、わけのわからない人間(会社)に

株主といられるのは、気持ちが悪いわけで、

「それなら買い取ります」となるパターンが多いです。

 

「別に少数株主なら、そのまま持ってもらってもいいでしょう。」

と思われる方がいます。

 

もちろん、そのとおりです。

あくまで少数の株主であれば、

出来ることは限られています。

 

株主に持たせるのか、それとも、会社が買い取るのか、

これは、会社の状況によって判断すべきだと思っています。

 

仮に少数株主に株式を持たせた場合、

どんなことがあるとお考えでしょうか?

 

これには、3つあります。

 

①帳簿閲覧謄写請求権

②株主代表訴訟

③自分が株主であることを、言いまわり、風評を落とす

 

①株式の3%以上持っていれば、帳簿を見ることができます。

対象は、決算書、総勘定元帳、補助元帳です。

管理用に作成している事業別の損益とか、役員報酬だとかは、

見せる必要がありません。

また、税務申告書は見せる必要がありません。

10年間はさかのぼって見ることができます。

 

②1株でも持っていれば、

株主代表訴訟を起こすことができます。

③はこのとおりです。

 

結果的に、いろいろなリスクを検討すると、

買い取りを選択する会社が多いのです。

当然、買い取りは交渉ですが、高くつきますね。

 

信じられないような話ですが、

私の周りで、現実に、少数株主が見ず知らずの会社に

株式を売却してしまった、という事案が発生したのです。

 

つくづく、種類株式にしておけば・・・

と悔やまれた事案でした。

 

つい先日も、日経新聞で、

「少数株主の株式を高値で買い取ります」

という書籍が広告に出ていました。

 

この手の話は、今後ふえてきそうです。

 

(福岡雄吉郎)

2020年11月 5日 (木)

株式は怖い③

株式の譲渡承認について、知られていないのが、

「取締役会の譲渡承認がなくても、

株主Aさんから、Bさんへの株式譲渡(売却)は、有効である」

ということです。

 

取締役会の譲渡承認というのは、

売り手のAさんからでも、

買い手のBさんからでも

承認を求めることができます。

 

この意味で、譲渡承認の意味というのは、

事前承認ではなく、事後的な承認の意味でもあるのです。

 

例えば、Aさんから株式を取得したBさんは、

会社に対して、

「このたび、私があたらしく株主になりました。

承認をお願いします。」と求めることができます。

 

この承認が求められた場合、

会社はもちろん、拒否することができます。

 

問題はこの後です。少しややこしいのです。

 

仮に新株主が、ただ単に「株主として認めてくれ」

の一点張りだとしたら、

会社は拒否することができます。

つまり、この場合に限っては、譲渡は成立しないのです。

 

しかし、ほとんどの場合は、

「もし、承認してくれなければ、

私(B)が持っている株式を、

会社が買い取ってください。

 

さもなければ、誰か別の買受人を指定して、

その方が買ってください。」

と条件を付けることができます。

 

こうなると、会社としては、

❶株主Bを、正式に株主として認める

❷株主Bから、株式を買い上げる

 

この二択になるのです。

❶でも❷でも、どちらにとっても、

会社にとっては好ましい状況ではありません。

 

実務的には、ほとんどの場合は、

❷を選択することになります。

 

(福岡雄吉郎)

2020年11月 4日 (水)

株式は怖い②

オーナー企業の事業承継にとって大切なことは、

議決権を後継者に集中させることです。

その方法の1つとして考えたいのが、種類株式です。

 

種類株式の主なポイントは、2つです。

 

1.株式は株式でも、議決権のない株式にする

 

2.将来、分散しないように「~の場合は、会社が買い取る」

  という取得条項を付す

 

これを行うことで、後継者は、

少ない株式で、多くの議決権を得ることができ、

株式承継に伴う経済的な負担を減らすことができるわけです。

 

さて、今回、焦点を当てたいのは、

2番目の取得条項です。

 

例えば、株主が亡くなった、会社を辞めた、

就業規則に違反した、などなど、

株主から強制的に株式を買い取る条件を、

会社があらかじめ定めておくことができます。

 

しかも、買い取る際の買取価格も、

予め決めておくことができます。

 

ですので、もし、この取得条項が設定できれば、

将来の株式にまつわる無用な争いを避けられる、

ということです。

 

「当社は、株式を第三者に譲り渡すときは、

取締役会の譲渡承認が必要だと、定款に書いてます。

なので、将来、株式が分散することは、ありませんよ。」

このように思っていらっしゃる経営者は多いです。

 

しかし、それは勘違いです。

実は、譲渡承認がなくても、

株式の移転は成立するのです。

 

それはどんな場合かというと・・・・

株主が死亡した場合です。

 

この場合は、株式は、相続人に相続されます。

取締役会の譲渡承認がなくても、

自動的に相続されます。

 

と、ここまでは、このブログでもご紹介してきたわけですが、

実は、この譲渡承認、もう一つ、大きなポイントがあります。

 

それは、

「取締役会の譲渡承認がなくても、

株主Aさんから、Bさんへの株式譲渡(売却)は、有効である」

ということです。

 

(福岡雄吉郎)

2020年11月 2日 (月)

雇用調整助成金はどう処理するのか?

最近、

「雇用調整助成金は、決算書でどう処理すればよいでしょうか。」

との質問を受ける機会が増えてきました。

コロナ禍を受けての決算期が近づいてきている、

という企業が増えてきた、ということだと感じています。

 

おそらく多くは、

雇用調整助成金を雑収入か特別利益で計上処理している、

と思われます。

しかし、雇用調整助成金を受けるということは、

売上高が激減し、収支状況を悪化しているはずです。

こういうときこそ、可能な限り、

営業利益が大きくなるような決算書にしたいのです。

 

雇用調整助成金は、

労務費の戻りとして、給与費でマイナス計上してほしいのです。

そうすれば、

販売管理費なのか、製造原価の労務費でのとなります。

その分、営業利益は増えることとなります。

銀行は決算書の営業利益を重視します。

営業利益を大きくしておきたいのです。

 

労務費を調整するための助成金なのですから、

間違いではありません。

税理士資格の教科書通りに処理する必要はないのです。

経営者が明確な意図をもって、

そのように処理すればいいだけです。

 

今事業年度は、おそらくこのような、

普段はあまりない決算処理が必要になることと思われます。

税理士まかせにせず、税金面のみならず、

銀行や外部評価に対しても、有利な決算書となるよう、

どうすればよいのか、今から検討しておいてほしいのです。

 

そのための「ICO式 決算対策セミナー」を、

12月2日(大阪)、15日(東京)にて開催予定です。

15日の東京は、オンライン対応もしております。

経営者のみならず、経理担当が理解していないと、

前へ進まないこともあります。

経営者、経理担当、併せての受講をお勧めいたします。

お申込みは、こちらからお願いします。

 

(古山喜章)

株式は怖い①

オーナー企業の事業承継にとって大切なことは、

議決権を後継者に集中させることです。

 

ほとんどの会社は、

普通株式を発行しています。

普通株式というのは、

1株について1個の議決権を持つ株式です。

 

つまり、議決権を後継者に集中させることは、

株式を後継者に集中させることと、

同じ意味なのです。

 

ところが、毎年利益を稼いでいる会社は、

株式の値段がどんどん高くなります。

すると、株式を移動させようにも、

たくさんのお金が必要になってしまうのです。

 

議決権は、最低でも後継者が51%は

握れるようにしなければなりません

 

51%というのは、全体の過半数のことで、

株主総会の普通決議を単独で可決できる権利です。

役員の選任、解任、役員報酬の決定、

退職金の支給などが主な権利です。

 

理想的には、67%以上の議決権を握れるように

していただきたいです。

 

67%以上というのは、2/3以上ということで、

株主総会の特別決議を単独で可決できます。

 

定款変更、合併など、

組織の一大事に関することを決定できる権利です。

 

しかし、現実に儲かっている会社は、

この株数を後継者に持たせるのに一苦労します。

 

そこで、種類株式が登場するのです。

 

(福岡雄吉郎)

2020年10月30日 (金)

マサカの坂に備える経営対策 5話連続シリーズ

「借入金が返せなくなったら、どうなるのか?」⑤

 

結局、政府系銀行からの借入金11億円は、

支払い能力がないことから返済義務を免れることとなり、

三船社長のもとには、約2千万円の借金のみが残ったのです。

その残金は、今も粛々と返済を進めておられるのです。

 

「政府系銀行は、

今になってそのありがたさが、しみじみよくわかります。」

とは、三船社長の言葉です。

私も改めて、複数の銀行から資金調達するなら、

政府系を入れるべき、と実感させていただきました。

 

そもそも、政府系銀行には、他の市中銀行にはない、

ありがたい特徴があるので、再確認いたします。

1.預金をする必要がない

2.“待ってください!”と懇願すれば待ってくれる

3.余計なセールスをしてこない

4.不良債権となってもサービサーへの売却はない

 

順を追って確認してゆきます。

 

1.預金をする必要がない

政府系銀行は、国の予算から資金を得てそのお金を貸す、

という流れの融資が基本です。

集めた預金を貸す、という市中銀行とは、ここがまず違うのです。

市中銀行の場合、その銀行支店に口座を持ちます。

融資を受けていれば、預金も必ず発生します。

しかも、銀行の言うがままだといまだに、

融資を受けてその一部を定期預金に積む、

という、歩積み両建ても中小企業では発生しているのです。

歩積み両建ては、金融庁が禁止していることのひとつなのです。

 

2.“待ってください!”と懇願すれば待ってくれる

破綻まで行かずとも、資金繰りが行き詰まったとき、

“頼みます!”“拝みます!”で返済猶予してもらえます。

特に、災害などの危機発生時は国からも、

要望があれば猶予しなさい、との指示が下ります。

苦しい時に、待ってもらいやすいのは、大いに助かることなのです。

 

3.余計なセールスをしてこない

“いい株ありますけど、いかがでしょうか?”

“新しい金融商品が出たので、ぜひご説明にあがります!”

など、市中銀行は何かとセールスにやってきます。

政府系銀行は、必要のない商品を売り込んできません。

余計な時間をとられることがないのです。

 

4.不良債権となってもサービサーへの売却はない

今回紹介した、三船物産がいい例です。

サービサーへの売却はなく、

政府系銀行の内部処理で済ませてもらい、

借金を返済する必要がなくなったのです。

やむを得ず事業が立ち行かなくなったとき、

このことは他の市中銀行にはない、大きなメリットなのです。

 

これらのことから、

複数の銀行から融資を受けて事業を展開するのなら、

そのうちの1行は、政府系銀行を活用してほしいのです。

最悪の事態に陥ったとき、少しでも負担を軽くできるのです。

今回紹介した三船社長も、

「政府系のおかげで先が見えるので、

気分的には借金を全部かかえていたときよりずっとラクです。」

とのことだったのです。

破綻のような状態に陥ることなきよう、

経営に取り組むのが先決ですが、

最悪の時のことを考えておくことも、経営者には必要なのです。

 

(古山喜章)

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