当たり前のことをほめているか
古山喜章です。
職場のリーダークラスを対象に、部下育成の研修をしていていると、次の言葉がよくでてきます。
「注意はいくらでもできるが、ほめるのがむつかしい」
つまり、あれができてない、これができてない、あれがダメ、ここがダメ、ばかりなのです。
部下にとってみれば、注意や小言ばかりでウンザリです。
そのうち、注意されたときの処世術だけを身につけていきます。
仮に、注意された事柄ができるようになっても、モチベーションが上がったわけではありません。
で、「何をそんなに注意するの?」と聞くと、
「当たり前のことができてないんで、注意しているんです」となることが多い。
「じゃあ、当たり前のことができたときには、ほめてる?」と聞くと、
「えっ、できて当たり前のことなんだから、ほめる必要ないじゃないですか」となります。
当たり前のことでも、できていたらほめてほしいと、部下は心のなかで思っています。
できたときには何も言われず、できていないときにはとことん注意される。
これではやる気がでないのも当然です。
認めてもらえてない、という気持ちばかりがつのっていきます。
「いやいや、私は違いましたよ。私のときなんかもっとひどかったですよ!」という人がいます。
その人にとっては、そうなのかもしれません。だからこそ、現在の地位を築いたのでしょう。
しかし、このような人は、少数派なのです。
少数派の価値観を押し付けても、ほとんどの人は、それに応えることができないでしょう。
叱られっぱなしのなかを這い上がってきた人は、「人はそうして育っていくものだ」と思い込んでいます。
でも、人は皆、違います。
人を育成し、組織の戦力として育てていく立場の人は、このことをよく理解しておかねばなりません。
よく、「当たり前のことを当たり前にするのが難しい」と言われます。
ならば、当たり前のことができれば、そのことをほめればいいのです。
例えば、自分の子供が初めて立った、歩いた、しゃべった、というときに「できて当たり前のことなんだから、ほめる必要はないじゃないか」と思う親はいません。
当たり前のことでも、精いっぱいにほめてあげます。
すると、子供も笑顔になります。親も笑顔になります。
モチベーションが上がらなくて困っているなら、まずは、できて当たり前のことを見つけてほめてあげることから、始めてはいかがでしょうか。
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