気になるデータ「賃金カーブ」
古山喜章です。
11月14日の日本経済新聞に、厚生労働省がまとめた賃金データが掲載されていました。
大卒から定年を迎えるまでの賃金推移、いわゆる「賃金カーブ」が20年前と現在とで、どのように変わっているか、というものです。
賃金カーブは通常、年齢とともに賃金が上昇し、あるピークを過ぎると、今度は下降していきます。
そのカーブは、山のような形になります。
20年前と比べて明らかに違うのは、その山の高さが低くなっていることです。
つまり、学卒時の賃金と、40代後半あたりの最高ピーク賃金時の金額差が小さくなっています。
20年前、ピーク賃金は学卒時の約2.7倍。
現在は、約1.8倍。
大きな要因は、次の2つです。
1.環境変化のなかで業績が上がりにくく、昇給原資が確保しにくくなってきた。
2.年功的要素が少なくなってきた。
ある程度の経済成長のなかでは、業績貢献する人が多かろうと少なかろうと、業績はそれなりにあがり、昇給原資が確保できていました。
そのなかで、年功的要素も確保でき、それが従業員の生活を守ることだとも言われていました。
しかしこの20年で環境は変わり、賃金に対するこれまでの考え方が通用しなくなってきています。
これまでどおりの従業員の考え方・行動では、業績は上がりません。
私は、賃金カーブが小さくなったことは、問題でもなんでもないと思っています。
さして努力もせず、いるだけで賃金が上がり、頑張っている人と比べてさほど格差がつかない。
そのような状態のほうが、良くないと思っているからです。
「甘えの構造」がきかなくなってきただけだと思っています。
早い話し、ピーク時の賃金を高くしたいのなら、業績をよくすればよいのです。
各自が業績向上に結び付く行動をし、そのための知識やスキルを高めることに、時間を惜しまずに取り組む。
賃金を上げたいのなら、各自が業績に貢献する人材になる。
これにつきると思います。
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