銀行はだれの味方か?
みなさん、こんにちは。ICOグループの内藤秀治です。
銀行はだれの味方なのか?
中小企業では自分たちの味方だと思っています。
いや、自分たちの味方であってほしいと切望しています。
しかし、決してそうではありません。中小企業の経営者はしっかりと自覚すべきです。
昨日のニュースで「デリバティブ倒産急増」の記事が出ていました。
朝日新聞によると、「為替変動によるリスクを避けるための金融商品「デリバティブ」を銀行から購入した中小企業が、急激な円高でかえってその取引による損失が生じ、倒産に至ったケースが相次いでいる。」とのことです。
帝国データバンクによると、デリバティブによる損失が原因で倒産したケースは
平成20年に3件、平成21年に9件、今年に入って16件(11月末現在)と増加している
とのことです。
デリバティブとは、そもそも将来の価格変動や為替変動などに対するリスク回避のためのもので、このようなリスク回避の必要のない中小企業が購入するものではありません。
しかし、なぜか中小企業が購入しているのです。しかも大量に・・・。
デリバティブの損失が数億円に膨らみ、相談にこられた中小企業の社長がいます。
その社長は、業績が良かった4年前に、ある銀行の支店長のすすめで、
「ノックアウト型変額一括為替予約(変額2倍型・輸入企業用)」という商品を数億円分購入しました。
輸入企業向けで、損得が通常の2倍になる商品です。
ちなみに、その中小企業は輸入企業ではありません。
購入資金は銀行で用意しますといって、5年の固定金利で貸し付け、その資金で5年ものの商品を購入しました。
予約相場が103円/米ドル。
これよりも円安になれば得をし、円高になれば損をする契約です。
差額は年間に4回ある受け渡し日に決済します。
私が驚いたのは、「ノックアウト:消滅相場」の規定です。
設定した相場(この企業場合は、125円/米ドル)よりも円安になると、契約が消滅するというのです。しかし、円高の限界線はありません。
つまり、銀行はそれ以上は損をしない(購入者が得をする)限界線を設けているくせに、銀行が得をする(購入者が損をする)限界線はないのです。
その結果、急激な円高で大きな損失を抱えている中小企業がまだまだいるのです。
相談に来られた中小企業は契約を中途解約しましたが、あまりにも高い勉強代でした。
銀行は、業績が良くお金を貸したい企業には、これでもかという位にお金を貸します。
さらに、そのお金の運用先として色々な金融用品を提案します。
それによって、金利と手数料が稼げるからです。
そして、担当者のポイントが上がり、銀行内での評価が上がるのです。
決して中小企業の味方ではありません。
不要なお金を借りるのはやめましょう。
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