銀行崇拝の落とし穴
明けましておめでとうございます。ICOグループの内藤秀治です。
中小企業の経営者は本当に銀行が好きですね。
自社の取引先よりも銀行の方を優先して年始の挨拶に行く経営者が多いのには驚きです。
今日、支援先に伺うと銀行から融資の依頼があったというのです。
銀行から是非にもと言われているので前向きに検討したいとのこと。
しかし、よくよく聞いてみると「銀行保証付私募債」という名の社債発行の勧めでした。
手にされていた資料を拝見すると、「私募債による資金調達のメリット」として以下のことが書かれています。
1.優良企業としての企業イメージが向上する
・銀行の保証がついている
2.借り入れと組み合わせることにより多様な資金調達ができる
・返済計画に合わせた資金調達が可能になる
・発行手数料を最初に支払う分、期中の利払いが軽減できる
3.長期の資金調達することにより安定資金が確保できる
・2~10年の間で選ぶことができる
4.変動金利により足元の金利負担を軽減することができる
・固定金利よりも有利
5.事務手続が軽減できる
・銀行が事務を代行する
だまされてはいけません!
結局、企業の虚栄心をくすぐり、銀行にとって都合のいい表現にしているだけです。
発行手数料は先払い。これは、繰り上げ返済(中途解約)ができないようにしているのです。
長期資金は銀行が長く金利を稼ぐための手段、事務手続きは銀行が手数料を稼ぐための手段です。
一見、企業にとって有利な商品のようですが、結局は銀行のための商品なのです。
おまけに、金利は「短期プライムレート連動」といかにも安いように表現していますが、手数料や保証料等を含むトータル金利は約2.3%と書かれています。
今は、Tibor((東京銀行間取引金利)+スプレッド、優良企業ならば1.0%以下は当たり前の時代です。
この私募債が怖いのは、トータル金利(この場合では約2.3%)がこれからの金利交渉の基準になってしまうことです。
次に銀行から借り入れをしようとしたときに、「以前の金利は2.3%ですね」と必ず言ってきます。
他の銀行と交渉しても、「○○銀行からは2.3%で借り入れていますね」「他行とのバランスがありますから」と言って金利交渉が難航します。
しかも、原則として中途解約できませんからこの縛りを長期間(2~10年間)引きずることになります。
銀行の言いなりになってはいけません。
不要なお金を調達するのはやめましょう。
金利は安くなるよう交渉しましょう。
今年の教訓です。
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