日曜ビジネス映画劇場 その6
古山喜章です。
マネーゲームの狂気を見せてくれます。
インサイダー取引を描いた前作「ウォール街」から24年、
ラストで刑務所入りした元証券マンが出所。
懲りずに今度はレバレッジを武器に、マネーゲームへ返り咲きます。
「刑務所でこれまでのことを振り返ってよく考えた」
というが、やっぱりクセは治りません。
彼はきっぱりこういいます。
「これは俺にとって最高のゲームなんだ!」
経営者でも、株や投機の話しが好きな方がいらっしゃいます。
本質は同じではないでしょうか。
この物語には、経営やビジネスは、いわば無縁です。
しかしマネーゲームが、
経済やビジネス、家族にまで悪影響を及ぼしていきます。
こんなセリフが出てきます。
「このゲームの“狂気”は、違う結果を求めつつ、毎回同じことを繰り返してしまうことだ」
「あらゆるものが証券化され、合法的に大量破壊兵器を生み出していった。」
「レバレッジというステロイド剤で国民をマヒさせ、世界を狂気に巻き込んでいった」
金融でしか稼げなくなってしまったアメリカの、
狂気のうずを覗き込んだような感じですね。
誰が善で誰が悪か、
誰が仲間で誰がライバルか、
まったくわからないマネーゲームの世界が描かれていきます。
と思っていたら、
若き主人公の携帯電話の着メロがなんと、
懐かしきマカロニウエスタン「続・夕陽のガンマン」でした。
隠された金貨をめぐって、
三人のガンマンが善人、悪人、卑劣者になり、
誰が味方で誰が敵かもわからない物語。
いわばマネーゲームです。
まぁ、その頃となんら変わらないじゃないか、ということでしょうか。
しかもそのとき卑劣な男を演じていた役者が、
今回の「ウォール・ストリート」で、
卑劣な世界を生き抜いてきた、証券会社の大長老を、
貫禄たっぷりに演じています。
ここは映画ファン泣かせの心憎い演出なのです。
« 未収金がキャッシュフローを蝕む | トップページ | 実は知らなかった労務管理 ⑥解雇予告 »
「日曜ビジネス映画劇場」カテゴリの記事
- 映画「マネー・ショート」に見る、銀行の汚さ(2016.11.05)
- お気に入りの一本 ⑤(2014.01.03)
- お気に入りの一本 ④(2014.01.02)
- お気に入りの一本 ③(2014.01.01)
- お気に入りの一本 ②(2013.12.31)

コメント