決算書の中身
みなさん、こんにちは。ICOグループの内藤秀治です。
5月に入って、3月決算の数値が続々と発表されています。
多くの企業では、3月の震災までは業容の回復が見られていましたね。
3月以降は大幅に状況が変わりましたけど・・・・・。
昨日発表されたソニーの業績は、連結最終損益が2,600億円の赤字だそうです。
しかし、よく見ると営業損益は2,000億円の黒字(前年比約630%)です。決して本業で儲かっていないわけではないのです。
現在の震災による損失を見越して、繰延税金資産を取り崩したことによる赤字です。
決算した後に企業は決算書を作成し公告しますが、損益計算書の最後の損益数値だけ見ても会社の実態は見えてきません。
決算書の仕組みをよく知って、実態を把握しましょう。
もちろん、自社の業績や決算書もです・・・・。
昨日訪問した支援先でも前年度の決算書が完成し、内容をチェックしました。
税引前当期損益が約3億円の赤字です。
しかし、経常利益は約2億円の黒字で過去最高益なのです。
固定資産売却損、役員退職金を特別損失に計上したため税引き前損益が赤字になっただけなのです。
「いい決算ですね」と申し上げ、握手を交わしました。
次に貸借対照表をチェックしました。
最終赤字にも関わらず「自己資本比率」は上昇しています!?
純資産は減少していますが、それ以上に総資産を圧縮したからです。
徹底して不要な借入金を返済し、不要資産を処分し、回収管理を強化したのです。
次年度以降の予想貸借対照表を作成し、この一年間の活動がいかに有効であったかを確認しました。
今後の自己資本比率が飛躍的に向上しそうなのです。
次年度は法人税を支払う必要がなくなるからです。その次もやや少なめで済みそうです。
その結果、利益はそのまま純資産の増加につながるのです。
必ずしも最終利益が出なくてもいい場合もあるのです。税引前利益が赤字でもキャッシュフローがプラスの場合もあるのです。
いや、むしろ貸借対照表の中のムダを見つけ、それを損切りして特別損失を出す方が、明らかにキャッシュフローが増え、財務体質が向上するのです。
ただし、営業利益や経常利益をしっかりと確保できなくてはなりませんが・・・。
先方の社長もそれに気づき、しっかりと実践をされました。
今期もさらにムダを省き、不要資産の圧縮や売上債権の回収を強化する予定です。
みなさんも表面的な業績数値に惑わされないようにしましょう。
本当の意味で「儲ける」ために何が必要なのかをしっかりと考え、行動しましょう。
そのためには、売上よりも利益、利益よりもキャッシュフローに重点を置いた経営をしましょう。
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