頑張れなでしこ日本、INAC (その4 球団経営―2)
ICOの森垣英和です。
サッカーに限らずスポーツ球団経営には、2つの使命があります。
1つは「競技力を高め収益を確保し球団を維持する使命」、もう一つは「競技を普及する使命」。
「競技を普及する」ために、スクール事業やファンクラブ、地域活動などを重視します。
「競技力を高め収益を確保し球団を維持する」ためには、競技力を高めるFM(フィールド・マネジャー)と、収入を増やしコストを抑えるBM(ビジネス・マネジャー)が必要になります。
そして、2人のマネジャーの上にたち、時として相対立する問題(例えばFMが優秀な選手を高い年俸で引き抜きたいと要望する。しかし、BMが球団のコストがアップして赤字になると反対するなど)の最適ジャッジをする立場のGM(ジェネラル・マネジャー)が重要な役割となります。
競技力についても理解し、ビジネスでも判断できる人がGMに選ばれます。
GMには「予算執行権」と「人事権」の2つの裁量権が与えられます。
金と人事を握りそれをうまく使い、良い組織運営と結果としての業績をあげるのが良いGMと評価されます。
GM、FM、BMとも今年、来年のチーム成績、球団業績だけでなく、中長期の戦略的な発想での球団運営の考え方が必要になります。
若手選手の育成も数年単位で考えなければなりませんし、沢選手の年齢を考えればあと何年の選手生命かということもクールに考えねばなりません。
チームの成績がよいときは収入も増えますが、下がると収入は減少します。
球団経営で固定的な収入はスクール事業など僅かしかありません。
競技力を高める、収益を上げてゆくも短期、中長期の戦略で各マネジャーがうまく対応しなければなりません。
選手生命ということに関連して、「選手マネジメント」というスポーツ球団事業特有の制度について触れておきます。
スポーツ選手の選手生命はサラリーマンのようにそう長くはありません。
選手期間中に、どれだけ稼ぐか。
選手を引退した後のセカンドキャリアをどうするかなどの問題を考えておく必要があります。
男子のJリーグでは、プロとしてのキャリアがスタートして3年目で引退するケースが最も多いという現実があります。
毎年、戦力外通告される選手は140~150人、そのうちJリーグを去る人は110人~120人、平均年齢は25.7歳だそうです。
そうした背景を踏まえ「選手マネジメント」は属する選手の
①球団との契約条項や書類にまつわるリーガル(法的)マネジメント
②選手の収入、もらった金額をどのように使うか(貯蓄含む)ポートフォリオ(資産)マネジメント
③選手のライフプランや引退後のセカンドキャリアなどのライフマネジメント
など、安心してプレーに専念できるように選手と話し合い決めてゆきます。
INACでは、沢、川澄、大野、海堀などのトッププロ以外の選手に「簿記3級」「日商パソコン3級」などのビジネス研修を実施しています。
本日(8月18日)なでしこ日本が国民栄誉賞を受賞しました。オメデトウ!!
« 自社ブランドを構築せよ | トップページ | 設備・装置ビジネスの宿命 »
「経営」カテゴリの記事
- 謹賀新年(2021.01.01)
- あけましておめでとうございます(2021.01.04)
- 「純現金収支」 って何のこと?(2020.12.21)
- 脱・資本金主義⑤(2020.10.23)
- 脱・資本金主義④(2020.10.22)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 頑張れなでしこ日本、INAC (その4 球団経営―2):
» IKEA キッチンプランニング&収納プランニング ハウスキーピング etc... おまかせください(^3^)! [Witch House ウィッチハウス]
秋に向けてお部屋の雰囲気をかえてみませんか?お部屋のお掃除、お片づけや整理、ハウスクリーニング全般までOK! [続きを読む]
コメント