最近の起業の動向 (その4)
ICOの森垣英和です。
商売柄、「何か確実に儲かる商売はありませんか?」
「有望な新ビジネスはおまへんか?」とよく質問されることがありますが、「必ず儲かる有望な商売があったら、人に言う前に私がやってますがな」と笑いながら答えることが多くあります。
今やっているビジネスの将来性がない、
大儲けできなくても何か新しい良い商売はないか?
中小企業の多くの経営者が思うところではないでしょうか。
既存事業をベースに新しい事業に参入、業種転換を図る転業も広い意味での起業と考えられます。
業種によってちがいますが、毎年2~3%の企業が業種転換を図っています。
転業の目的、動機としては
①企業の更なる成長をめざす・・・49.0%
②既存事業の売上不振、
収益低下の補填・・・ 39.7%
③事業多角化の一環・・・36.1%
④既存市場の飽和、
成熟により将来性がない・・・32.2%
⑤既存事業が陳腐化し将来性がない・・・26.4%
全転業のうち、積極的に新しい分野への能動的転換が45.0%、
追い込まれ事業転換を図る受動的転換が55.0%と、
ほぼ半々に近い数値になっています。
私のお手伝い先の建設関連(生コン、砕石業)の会社では、建設マーケットの半減(ピークの83.8兆円が2011年予測43.2兆円)、特に公共事業に依存した部分が多いので売上が激減しました。
何か新しいビジネスにより売上、収益を確保せねば、企業存続が厳しい状況が続いていました。
そこへ、今年の3月11日の東日本大震災で地盤液状化現象が各地で発生、本業の砕石を使っての地盤改良マーケットに参入しました。
今までの地盤改良は、セメント、鋼管を柱状杭にして地中に埋めてその上に建物を建てる工法が主流。
その工法ですと、地層の境目のせんだん力の強さの違いによって地中で杭が折れ、家の重さに耐え切れなくなり家が傾いたり、沈んだりすることもあります。
その会社は、FC契約でセメント、鋼管に代わり砕石を筒状の穴に入れ液状化を防ぐ工法を導入しました。
地中の砕石の柱で、地震の揺れを吸収し、砕石が水を通過させて水圧を逃がして液状化を防ぐことが出来るという画期的な工法で、工事期間、コスト的にもメリットのあるものでした。
まだ大きな業績の柱にはなっていませんが、受注はきわめて好調に推移しています。
この会社の新規事業のポイントとしては
・事業参入のタイミング(大震災による潜在需要の顕在化)
・本業の関連化、本業の活用(砕石の活用、過去の販売先の建設会社からの受注)
・技術をFCで外部から導入(参入のスピード性)
・社内の機器、人材の活用(投資が少なくてすむ)
などですが、せっかく取り組んだ事業は成功させなければなりません。
新規事業の3割は10年で消え、20年で半分に減ります。
この事業の展開に全力をあげて支援してゆきたいと思います。
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