B/S面積グラフから考えてみよう⑥
古山喜章です。
長期固定適合比率 その2
(固定長期適合比率、とも言われます)
その計算式は、
固定資産÷(自己資本+固定負債)×100
で、○○%といった数値になります。
財務の安定性を示す経営指標として使われます。
その安定性を計るには、100%以下にしたい数値であることは、
前回の記事で書かせていただきました。
そのなかで、次の事例を出しました。
安定性を崩して115%くらいになっている状態です。
固定資産よりも、(自己資本+固定負債)が大きい状態です。
例えばこの状態から、
投資やその他の中身を売却して、
短期借入金を返済したとします。
長期固定適合比率は、
90%強、といったところですね。
左側からは、投資とその他が小さくなり、
右側からは、短期借入金がなくなりました。
当然その分、全体の総資産は小さくなっています。
かといって、自己資本は縮みません。
売却損の分が縮んだとしても、その分、
左側も縮むから同じことなのです。
で、自己資本比率を赤文字で書いています。
改善前は39%が、改善後は45%です。
安定性が高まっているのです。
短期借入金がなくなって資金繰りが楽になり、
その上、自己資本比率も向上したわけです。
そうなると、
銀行交渉時に使われる格付けも向上し、
より有利な条件で交渉できることになってきます。
借換えで金利を下げ、長期借入金を返済するときなどに、
活用できるわけです。
この図では、投資とその他を売却しましたが、
要はなんでもよいのです。
建物を売る、
機械を売る、
土地を売る、
なんでも構いません。
ただ、いずれにせよ、売却するということは、
現状の事業になくてはならない資産ではなかった、
ということです。
不要な固定資産を放出しただけなのです。
それで安定性が高まり、財務が改善するなら、
そして、キャッシュフローが良くなるなら、
放出したほうが何よりも得策だということです。
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