B/S面積グラフから考えてみよう⑪
古山喜章です。
~投資等肥大症 その1~
貸借対照表の固定資産の部には、
「投資等」「投資その他」などと書かれた項目があります。
その中身は、たとえば、
有価証券、生命保険、保証金、などでしょうか。
事業に必要なモノばかりならよいのですが・・・。
次の面積グラフを見てください。
「投資等」がやたら大きいいことがわかります。
それでいて、右側には短期・長期の借入金がある。
つまり、
借金してまで何らかの投資をしている、
ということなのです。
例えばこんな会社がありました。
銀行の担当者から
“これは有望ですよ”
“もうすぐ上がりますよ”などと言われ、
借入金をして、どこかの国の通貨建債権
を買ってしまった。
で結局、いつまでたっても上がらない。
かといって、売るともったいない、と考え、
そのままになっている。
という、よく見かけるパターンなのです。
この事例では、
損が出るのは承知ですぐに売却しました。
損は出ても、ゼロではなく、
それなりの現預金が入ります。
そしてその企業は、その損に等しいくらいの
経常利益が出ていたのです。
通貨建債権の売却損を特別損失に計上し、
税引き前利益はゼロに近づきました。
それにより、
税金でのキャッシュアウトはほぼなくなり、
しかも、
売却した額の現預金は増え、
短期借入金を返済してしまったのです。
固定資産と流動負債が縮まったので、
総資本も縮まりました。
で結局、自己資本はほぼ変わりませんので、
自己資本比率も高まりました。
その経営者は、
“売ってよかった!”と実感されていました。
売りようがない、と考えていた有価証券は、
その企業にとってはまさしく埋蔵金だったのです。
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