生産性向上(4) ~「カネ」の整理・整頓~
みなさん、こんにちわ。ICOグループの内藤です。
「ヒト」や「モノ」の整理・整頓と合わせて、「カネ」も整理・整頓しましょう。
「カネ」による生産性には、第一に現金・預金や売上債権(受取手形、売掛金等)、投資(有価証券、貸付金等)などの回転率(回転期間)があります。
前回の「モノ」による生産性のところでも申し上げた通り、回転率は資産の何倍の売上高をあげているのかをみる指標で、数値が高い方が効率的に「カネ」を活用していることになります。
資産回転率=年間売上高/資産(回)
資産回転期間=資産/月間売上高(月)
回転期間は、月商の何か月分の資産を保有しているのかを表しており、何ヶ月分のお金が眠ってしまっているかをみるものです。
当然、回転期間は短ければ短いほど良いわけです。
現金預金回転期間(=現金預金/月間売上高)は、1か月以下が目安です。
銀行に勧められるままに、不要な現金を持つのはやめましょう。
預金があるのならすぐに借入金を返済しましょう。
資金的に全く問題もないのに、銀行からすすめられるままに借入し、そのお金でデリバティブ商品を購入し、びっくりするような損失を出している会社を何社も知っています。
必要のないお金を持つと、結果的に大きなリスクを抱えるのです。
当然、生産性も低下します。
先日もある企業の決算書を拝見すると、3ヶ月分ほどの現預金がありました。
貸借対照表の右側をみると、長期借入金が5億円ほどあるのです。
「この現預金で長期借入金を返済しませんか?」とすすめると、
その会社の社長は、「いざという時のために、現金を持つように銀行からすすめられました」とおっしゃるのです。
「いざという時とは、どんな時ですか?」とさらに聞くと、
「突然、得意先が倒産するとか・・・・、収入が急に減ったりするときです」とこたえられる。
「その時になって、借り入れればいいのではないですか?」とすすめると、
「その時に貸してもらえなければ大変なことになります」おこたえになる。
「当座貸越を利用すればいかがですか?」
「日頃から銀行がお金を貸したくなる財務体質にしておけば、その時に貸してもらえないなどはありません」。
「そもそも、日頃からしっかり管理しておけば、いざという時も来なくなりますよ」。
結局、その会社は5億円のうち3億円の借入金を途中解約し、繰越返済しました。
その結果、自己資本比率やギャリング比率が好転し、銀行からの格付けが上がりました。
現預金が多ければ多いほどいいという神話を信じるのをやめましょう。
さらに、売上債権(受取手形、売掛金等)や投資(有価証券、貸付金等)なども圧縮しましょう。
・受取サイトを短縮化する
・手形取引から現金取引に変える
・不良債権を処理する
・未収入金をなくす
・貸付金を精算する
・本業に関係のない有価証券は処分する
など本気で取り組みましょう。
貸借対照表の「カネ」が少ないほど生産性は高まるのです。
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