働きやすい会社の業績急下降の皮肉
ICOの森垣英和です。
「働きやすい会社2011年」の調査結果が日経新聞(9月26日付)に掲載されていました。
評価事項として、企業の人事・労務制度の充実度を点数化し、人材の育成、活用や労働環境、育児介護、多様な働き方への対応などを評価しランク付けるものでした。
1位がソニー、2年連続だそうです。
2位日立製作所、3位東芝、4位パナソニック、5位ダイキン。
4つの評価項目があり、
ソニーは「人材の採用・育成」、「多様な人材の活用」で1位、「職場環境の整備」で2位。
特にグローバル化に向けた施策、1年間100人を海外に出す「海外経験支援プロジェクト」を従来の留学制度に加えて導入、海外勤務を含めた公募制度も昨年よりスタートさせたのこと。
パナソニックは「人材採用・育成」で2位、「多様な人材の活用」で3位。
女性役員、部長の登用など職場多様化推進に力を入れているようです。
「人材の採用・育成」の3位に武田薬品工業も入っていました。
その記事からわずか2カ月後、パナソニックは4500億円の利益の下方修正。
TV、半導体の縮小でのリストラ費用5000億円を計上し、12年3月末の利益は4200億円の赤字。
ソニーも日米欧でのTV需要が想定を上回り同事業で1750億円の赤字、12年3月末では900億円の赤字予想となっています。
武田も800億円の下方修正で利益は計画の68%に減少。
リストラとは、人の削減もあるのでしょうね。
評価項目の「人材の採用育成」、「多様な人材の活用」、「職場環境の整備」、「多様な働き方への配慮」は業績悪化で各社どうするのでしょうか?
予想を超える需要の不振、超円高、予期せぬタイの洪水の被害などあったとしても、大企業は簡単に人員削減に取り組んでしまうのは疑問に思います。
08年のリーマンショック後、電機産業では国内、海外を含めて約10万人ちかくの非正規従業員を含む人員削減、配転を行いました。
ソニーは国内外で1万6000人以上の削減、半分は正社員。
日立7000人、東芝4500人。
パナソニックも国内外で1万5000人の削減、配転。
早く、厳しい環境変化に対応する必要があるのは理解しますが、経営責任は誰がどうとるのでしょうか?
「働きやすい会社」と業績下降には直接的な因果関係はないにしても、「働きやすい会社」の急激な業績悪化は皮肉な現象と感じます。
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