B/S面積グラフから考えてみよう⑱
古山喜章です。
~自社の値段を考えてみる~
2011年度、特に多いなぁと感じたのは、
M&A、企業買収ですね。
新聞などで、
“A社、○○億円でB社を買収”
といった記事をよく見かけました。
新聞で見るほどの大きな企業買収だけでなく、
中小企業においても、
“売りたい、買いたい、”との話しを聞く機会が、
1度や2度ではありませんでした。
事業再編や事業継承の手段として、
広い裾野で定着しつつあることを実感します。
では、その○○億円という値段はどう出すのか。
実際には、
税理士や会計士など、M&Aを専門に扱う方々に、
算定を依頼することになります。
これを、「デュー・デリジェンス」といいます。
誰に依頼しようとも、
その算定の基本となるのは、
B/S=貸借対照表なのです。
なかでも、
自己資本の金額が、売買価格のベースとなります。
つまり、下記の面積グラフの、黄色の部分ですね。
でも、左側の資産は通例、
何等かの損を含んでいることが多いものです。
それらの実態を、デュー・デリジェンスで明確にするわけです。
例えばその結果、
回収不可能な売掛金、
価値が大きく下がった建物や土地、
があったとしましょう。
するとその含み損は、自己資本の額から差し引きます。
となると、
先程の面積グラフは、こう評価されることになります。
黄色部分の自己資本がぐんと縮まりました。
一方、長期借入金や、買掛金などの負債は、
そのまんまです。
並べると、こうなります。
自己資本比率が50%くらいあり、値段も高い、
と思いきや、30%くらいで、
自己資本額も大きく下がりました。
ここでは長期借入金がありますから、
それも価格交渉時のマイナス要因となります。
ここまでの評価額がベースです。
そこに、収益力や、技術力など、
のれん代といわれるものを加味して、
価格が決まってゆきます。
キャッシュフローで、
概ね3年分くらいはオンして考えます。
いずれにせよ、
自社の価値を高めるには、
余分な資産をそぎ落とし、収益力を高めておく、
ということが大切なのです。
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