B/S面積グラフから考えてみよう⑮
古山喜章です。
~在庫の削減 その1~
計上方法によって、削減効果を高める!
在庫が諸悪の根源となる。
ということは何度も申し上げています。その在庫を削減したときに、
どのような科目で処理するかによって、
その効果も変わってくるのです。
具体的に言えば、
不良在庫を処理する際に、
(1)棚卸表から削除し、原価として処理するのか、
(2)棚卸資産除却損とし、特別損失に計上するのか、
によって、銀行格付評価への効果が変わってきます。
総資産の内、在庫のウェイトが大きいことがわかりますね。
しかも、右側には、短期・長期借入金があります。
つまり、銀行に格付評価されているのです。
で、膨大な在庫のうち、実は半分が単なる不良在庫で、
それを廃棄処理した、としましょう。
すると、面積グラフはこうなります。
処分しただけ、右側は剰余金が減っています。
このとき、
(1)棚卸表から削除し、原価として処理する、の場合
そのマイナスは原価に反映されるので、
その分、営業利益・経常利益も減ります。
(2)棚卸資産除却損とし、特別損失に計上する、の場合
そのマイナスは特別損失に反映されるので、
営業利益・経常利益は減りません。
(1)でも(2)でも、税引前利益は同じです。
しかし、
(1)なら、
銀行格付評価項目の営業利益・経常利益は、
数値を落としてしまいます。
もったいない話しです。
格付評価の数値は、銀行交渉時の武器となります。
武器が強ければ、他行と強い交渉で低金利の融資を受け、
現行の借入金を返すことも考えられます。
計上方法が違うだけで、
財務管理への影響は大きく変わってきます。
不良在庫を処理する際には、くれぐれもご注意ください。
« システム会社の言いぐさ | トップページ | 技術は常に進歩する »
「B/S面積グラフ」カテゴリの記事
- 減収増益になれば、どうなるのか?(2015.03.17)
- 増収増益になれば、どうなるのか?(2015.03.13)
- B/S面積グラフから考えてみよう (57)(2012.12.11)
- B/S面積グラフから考えてみよう (56)(2012.12.03)
- B/S面積グラフから考えてみよう (55)(2012.11.20)
コメント