職能等級と職位のズレ
古山喜章です。
従来の人事制度は、職能等級を重んじてきました。
で、各職能等級に、必要な職位を当てはめてきたのです。
例えば、
職能等級4級に主任・係長、
職能等級5級に課長、などという具合です。
しかし、
多くの中小企業では、そんなにうまくいきません。
「あいつはまだ3級だけど、他にいないから係長にしよう」
「級は足らないが、店長をやらせよう」
などというようなことが往々にして起こります。
そこで職能等級を上げ、給与も上げるならまだいいです。
多くの場合、職能等級はそのまま。
そのため、職位が上がって責任は重くなるものの、
給与はさほど上がらない、ということになります。
わずかな役職手当が増えるだけです。
で、その人物は職場で部下に、いつかこんなことを言います。
「オレ、役職上がったけど、給与はほとんど変わってないで」
「お前らとそんな変わらんで」
そう言っておくことで、
“お前たちにおごってやるほどもらっていないよ”
ということを、遠回しに伝えてもおきたいのです。
部下たちにとっては、
人事制度の細かな内容や仕組みよりも、
身近な上司の生々しいコメントが、
モチベーションに直結します。
自分の将来を考える判断材料となります。
もしこの上司が、若くして役職に就き、
給与もド~ンとアップしていたら、
部下が見てもわかるくらいに、
お金の使い方が変わってくるでしょう。
給与面でのグチもないでしょう。
そのような姿を見て、
やる気のある部下はモチベーションが上がり、
バリバリと働いてくれるのです。
ポストを与えるなら、ふさわしい処遇を与えるべきです。
古き職能等級制度に引きずられる必要はありません。
組織風土にもよりますが、
職能等級を重視して処遇する時代から、
職位を重視して処遇する時代に変わりつつある。
そう思わされる機会が、本当に多いですね。
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