B/S面積グラフから考えてみよう (27)
古山喜章です。
~借入金対月商倍率を見る~
借入金残高が、平均月商に対して何倍くらいあるか?
というのが、借入金対月商倍率です。
業種にもよりますが、4倍を超えると黄色信号、
6倍を超えると赤信号、と考えればよいでしょう。
例えば、こちらの面積グラフを見てください。
左側の赤い部グラフが年間売上を示します。
黄色の部分が借入金です。
この状態だと、借入金対月商倍率は、6.0倍です。
つまり、
年商の半分くらいの借入金があるわけです。
損益計算書には出ませんが、毎月の返済だけでも、
資金繰りが厳しくなるのは目に見えてきます。
金利負担もかさみます。
そうなると、返すために借りることとなり、
悪循環から抜け出せなくなります。
借りる以外の方法で借入金を減らすことが必要なのです。
で、土地や投資を売却して現金化し、
短期借入金を返したとしましょう。
すると、面積グラフはこのようになります。
この状態で、借入金月商倍率は、4.0倍です。
これでもまだ黄色信号ですが、
毎月の返済額が大きく減りますから、
資金繰りはずいぶん楽になるはずです。
当然、総資産が縮みますから、総資産回転率は向上し、
1.1回転から、1.5回転になっています。
ところが実際には、
このような作を素直に実行できる経営者は少ないのです。
土地や投資の売却でつまづきます。
“今売ったら損する”
“今は売り時ではない”
“売ったら変なウワサがたつ”などなど。
そのような思い込みに、阻害されるわけです。
財務体質をみれば、そんなことを言ってる場合じゃないのに、
腹をくくって決断できない方が多い。
借入金を減らして、財務体質を健全にすることのほうが、
不要な思い込みよりも、はるかに大切なのです。
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