B/S面積グラフから考えてみよう(39)
古山喜章です。
~業種に見合った体型にする⑥~
面積グラフには、
業種に応じてそれぞれの体型の特性、
というものがあります。
卸売業の場合、
どうしても在庫が必要となり、売掛債権も発生します。
といっても、ピッキングなどの効率化を考えると、設備・システムなど、
ある程度の固定資産も必要です。
なので、多少の借入金も発生しがちです。
バランスで言うと、流動資産:固定資産で、6:4くらい、が一般的です。
なのに、次のような面積グラフを見かけることがあります。
流動資産のウエイトが大きすぎますね。
そのため、負債の部では、
長期借入金だけでなく、短期借入金もあります。
流動資産を見ると、何がウエイトが大きいのか。
売掛金と在庫、ですね。
売掛金でいうと、
回収サイトが長い、あるいは、先方の期日まかせ、
という場合があります。
在庫にしても、現場まかせになると、
持ちすぎになる傾向が高まります。
卸売業の場合、利幅はそれほど大きくありません。
資金を回転させることで、儲ける商売なのです。
資金を回転させるとは、
在庫をギリギリで回し、
売掛債権はできるだけ早く回収する。
つまり、
投じた資金で商品を仕入れ、販売し、
代金を回収するまでの期間を縮める、ということです。
その期間が長くなれば、
当然、カネ回りが悪くなるわけですから、借入金が増えます。
借入金が増えると、
毎月の金利のキャッシュアウトが増えます。
毎月の返済のキャッシュアウトも増えます。
ますます、企業の財務体力を奪ってゆきます。
回転で儲ける商売ですから、かなり厳しいはずです。
売掛金、在庫を減らし、バランスが改善されると、
このようになります。
借入金が少なくなり、
カネ回りは楽になるはずです。
どのようにして売掛金や在庫を減らすか、は、別記しますが、
利幅の小さい商売で借入金を増やしすぎることは、
致命傷になりかねません。
そこから抜けだすエネルギーは相当なものです。
常に、業種・業態に応じた財務バランスを、
意識しておいてほしいですね。
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