B/S面積グラフから考えてみよう(41)
古山喜章です。
中小企業に共通する宿命は、
カネがない、売りモノがない、人材がいない、
ということです。
そのような宿命を受け入れ、それでもしぶとく生き残るには、
総資産の回転、ということに目を向けなければいけません。
すなわち、
投じた総資産でどれだけの売上を計上できるか、
ということです。
これを、総資産回転率、と言います。
計算式で言うと、
年間売上高 ÷ 総資産 となります。
1.5なら1.5回転、0.7なら0.7回転 ですね。
回転が多いほど、効率が良いのです。
カネ回りがよいのです。
とはいうものの、これも業種によって特性があります。
~小売・外食業~
小売・外食の場合、
現金商売が基本ですから、売掛金が発生しません。
在庫も、0.5ケ月分以下で十分まかなえるはずです。
なので、流動資産は小さくなります。
反面、店舗の内装や備品、設備など、
固定資産が発生します。
利幅も大きくないわけですから、回転で儲けたいのです。
少なくとも3回転はさせたいです。
ところが、次のような場合があります。
左側の面積グラフですが、
在庫が多いことと、土地が目立ちますね。
赤い線が年商ですから、在庫が2ケ月分以上あります。
明らかに多すぎます。
そして、土地です。
土地は自社で持つ必要はありませんし、減価償却できませんから、
いつまでも、回転を悪くさせる要因として残ります。
結果、総資産回転率は1.9回転です。
で、その在庫をなんとか減らし、
土地を関連の不動産管理会社などに売却して、
右側の面積グラフになりました。
まだまだ在庫は多いですが、総資産がぐっと圧縮され、
結果、総資産回転率は3.3回転です。
つまり、回転が良い、ということは、不要な資産がないのです。
不要な資産があると、必ず右側の調達も増えるわけですから、
カネ回りが悪くなってゆきます。
業種に見合った総資産回転率になっているか、
確認してみてください。
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