B/S面積グラフから考えてみよう(42)
古山喜章です。
厳しい経営環境のなか、中小企業がしぶとく生き残るには、
総資産の回転、ということに目を向けなければいけません。
すなわち、
投じた総資産でどれだけの売上を計上できるか、
ということです。
これを、総資産回転率、と言います。
計算式で言うと、
年間売上高 ÷ 総資産 となります。
1.5なら1.5回転、0.7なら0.7回転 ですね。
回転が多いほど、多くの儲けを生み出し、効率が良いのです。
カネ回りがよいのです。
とはいうものの、これも業種によって特性があります。
~メーカー~
メーカーの場合、
流動資産では、売掛金や棚卸資産が発生します。
固定資産では、建物や設備・機械などが発生します。
そのため、流動資産と固定資産のウエイトは、半々くらいです。
ただし、総資本回転率は、2回転くらいは欲しい。
左側の面積グラフは、流動資産と固定資産のウエイトは半々ですが、
在庫、売掛金、土地、投資などが多すぎます。
そのため、総資本回転率は1.3回転です。
で、売掛サイトを縮めて売掛金を減らし、
不要在庫を処分して在庫を減らし、
土地を子会社に売却し、
不要な投資も売却あいました。
その分、負債・資本の部は、除却損分の剰余金が減り、
売却で得た資金を使って、借入金を減らしました。
その結果、右側の面積グラフになり、
総資本回転率は2.0回転となりました。
改善前も改善後も、売上は同額です。
しかし、左側の面積グラフでは明らかに、
金利が余計に必要となり、毎月の返済額も多くなります。
つまり、カネ回りが悪いのです。
資金繰りはかなり厳しいですね。
戦略うんぬんより、まずは資金繰り、という状況が続きます。
それに比べて改善後は、資金繰りがよくなり、
銀行交渉に強くなり、
建物・設備等の修繕やブラッシュアップへの、
更なる投資を積極的にできるようになります。
総資本の回転を良くすると、カネ回りがよくなり、
企業体力が増してゆきます。
そうして、
ライバルに打ち勝つ差別化を素早く実現できるのです。
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