B/S面積グラフから考えてみよう(44)
古山喜章です。
厳しい経営環境のなか、中小企業がしぶとく生き残るには、
総資産の回転、ということに目を向けなければいけません。
すなわち、
投じた総資産でどれだけの売上を計上できるか、
ということです。
これを、総資産回転率、と言います。
計算式で言うと、
年間売上高 ÷ 総資産 となります。
1.5なら1.5回転、0.7なら0.7回転 ですね。
回転が多いほど、多くの儲けを生み出し、効率が良いのです。
カネ回りがよいのです。
とはいうものの、これも業種によって特性があります。
~サービス業・人材派遣業等~
サービス業・人材派遣業など、人がサービスを提供する業種の場合、
まず、固定資産が不要です。
保険代理店、システムサービス、コンサルタント、などなどもそうですね。
流動資産も、売掛金があったとしても、サイトはさほど長くありません。
資産を持たずに利益を上げ、回転で儲ける業種なのです。
なので、総資産回転率としては、5回転を目標としたいところです。
左側の面積グラフでは、固定資産に土地・建物が目立ちます。
そのため、負債側には、短期・長期借入金が発生しています。
総資産回転率は2回転ですから、一見、悪くはないように見えます。
しかし、毎月の借入返済や金利が重くのしかかり、
これでも資金繰りを大きく圧迫してしまいます。
で、
右側の面積グラフは、土地・建物、短期・長期借入金がない場合です。
総資産回転率は5回転です。
サービス業・人材派遣業などの場合、土地・建物を持っているから、
といって、業績に貢献することは何もありません。
賃貸で良いのです。
資産よりも、広告宣伝などにかけるコストが必要なのです。
特に、土地を持つと、減価償却がありませんから、
その返済原資は、税引後の純利益になります。
相当の経常利益を上げないと、返済資金が出てこないのです。
となると、その分、本当に使いたい経費を削り、無理やり利益を出し、
なんとかして資金繰りを回すようにします。
そのような状況では、本業そのものを延ばしてゆくことが、
おろそかになるのは当然ですね。
固定資産がなくてもできる商売で、不要な資産を抱えると、
そのための資金確保に翻弄されてしまうのです。
自社の業種をよく考え、甘い誘いや余計なあこがれに
影響されることのないよう、判断してほしいですね。
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