企業で起こる不正① その2
福岡雄吉郎です。
前回のブログで書いた、預金の引き出し、
について、より具体的に説明します。
その担当者は、定期預金を解約して、
個人的な損失の穴埋めに使っていました。
担当者は当初、
「穴埋めに使った分は、あとで何とかしよう。
一発あてれば、何とかなる。」と思って、
会社のお金を使ってしまいました。
定期預金を解約したとき、本来ならば、
振替伝票をきって、定期預金を減らす必要があります。
たとえば、定期預金をすべて現金に換えたなら、
(借方)現金 (貸方)定期預金
という仕訳をきります。
この担当者は、
「会社の金を使うのは、ほんの一瞬だけ。
すぐに何とかなる。」と考え、
実際に振替伝票をきりませんでした。
つまり、会社の帳簿上、定期預金は解約されていない、
ということになっていたのです。
しかし、実際には、穴埋めに使ったお金を
工面することはできませんでした。
反対に、損失額はもっと膨らんでしまいました。
結局、損失額が膨らみすぎて、どうしようもなくなって、
会社に白状したのです。
この会社では、
銀行から定期的に残高証明書を取り寄せ、
社長が確認をする、という習慣がありませんでした。
もし、残高証明書をとっていれば、
すぐに発見できていたはずです。
各預金残高は、
・当座預金・・・当座勘定照合表(銀行から送付される)
・普通預金・・・普通預金通帳
・定期預金・・・定期預金通帳か定期預金証書
で確かめることができます。
また、銀行から残高証明書を取り寄せれば、
これらすべての残高が一覧で確認できます。
さらに、いまはインターネットで、
自社の各預金残高を照会することも可能です。
この会社のよくなかった点はもう一つあります。
社印や銀行届出印の管理(印章管理)も、
現金出納担当者に任せきりになっていたことです。
だから、定期預金を簡単に解約できてしまったのです。
次回、預金に関するもう一つの事例と、
不正への対応策について紹介します。
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