企業で起こる不正① その3
福岡雄吉郎です。
前回に続き、預金に関する不正事例をもう一つ、
ご紹介します。
その会社では、現金出納担当者が多額の
借金を抱えていました。
そして、借金返済のために、
会社の定期預金が使われてしまいました。
この会社も、現金出納業務から印章管理まで、
担当者に一任していました。
担当者は、定期預金を解約した際に、
以下の振替伝票をきりました。
(借方)仮払金 ×× (貸方)定期預金 ××
定期預金残高は、事実に合わせて減らされていますので、
銀行の残高証明書を入手しても、不正は発覚しません。
しかし、決算になって、社長が貸借対照表に目を向けると、
「仮払金」が多額に計上されていることに気づきました。
内容を調査した結果、上記のような事実が判明したのです。
中小企業の場合、資金調達、運用を考えるのは、
社長の仕事です。
そのためにも社長は、自社の預金残高を常に把握し、
不正が行われていないか注意する必要があります。
しかし、具体的にどう注意したらよいか分からない、
という会社も多いです。
自分の知らないところで、
多額のお金が引き出されないようにするには、
(1)現金出納、印章管理業務を同じ担当者に任せない
(2)社印、銀行印は社長が保管する
(3)朝から晩まで休みなく、熱心に働いている人がいる場合、
生活態度、金遣いなどに、不審な点がないかチェックする
(4)定期的(毎日、毎週)に各預金残高をチェックする
(5)毎月B/Sや試算表を作成して、
「仮払金」、「仮勘定」という科目の内容をチェックする
などの仕組みをつくることが大切です。
不正をする人は、「ばれたらどうしよう」という緊張感が
あるため、最初は目立たないように、
少額で始めるケースが多いです。
だんだんと、感覚がマヒしていって、
不正額も膨らんでいくのです。
上記の仕組みには、
そもそも不正を行うのをやめさせる、という予防効果や
仮に不正が行われてしまったとしても、
影響額が大きくなる前に発見する、という発見効果があります。
もし、現金出納業務が誰か一人に任せっきりになっている、
という会社があれば、(1)~(5)の仕組みを
つくることを検討されてはいかがでしょうか。
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