在庫はおカネ
みなさん、こんにちわ。ICOグループの内藤です。
9月3日に財務省から「四半期別法人企業統計調査」の結果が発表になりました。
平成24年4~6月の企業動向をランダムサンプリング法により標本調査したものです。
国や公共団体が発表する統計調査には種々のものがありますが、「法人企業統計調査」は財務的な視点から分析しており、とても参考になります。
これによると、前年の同期(平成23年4~6月)に比べて、売上高は製造業で増加、非製造業では減少、経常利益は製造業、非製造業とも増加になったとのことです。
つまり、製造業では減収増益、非製造業では増収増益です。昨年のこの時期は震災後の影響もあり、単純な比較はできませんが、景況感はよくなっているのではないでしょうか?
少なくとも、やり方によっては十分に収益性が向上する環境にはあるといえます。
また、設備投資が増加している一方で在庫投資は減少しており、H24年6月時点での売上高に対する在庫額の比率も8.0%(平成23年6月時点は8.3%)で0.3ポイント減少しています。
自己資本比率は37.6%(平成23年6月時点は36.9%)で0.7ポイント向上しています。
あくまで、ランダムサンプリングによる平均的な数値ですが、わが国の企業においては収益性、安全性ともに向上している姿が見られます。
しかし、これからが大切です。
売上高が増え、収益性が向上すると、たちまちに設備投資が増え、そして在庫が増えるのです。
業績が厳しい時は、資金管理、在庫管理に注力しますが、少し安心するとたちまちに財務体質が悪化する企業が多いのも事実です。
昨日、訪問した企業も昨年は震災の影響で前半の業績は散々でした。
売上は20%減少し、経常損益は赤字の状態でしたが、後半からは売上、利益ともに急回復し、年度全体では増収増益で終わりました。
今期に入っても増収増益が続いていますが、月次試算表を見ると在庫が増加しているのです。
その結果、キャッシュフローがマイナスになっているのです。
現場を見ると、なるほど倉庫が製品在庫一杯で、生産ラインのあちらこちらに仕掛品が滞留しています。
棚は原料や材料でいっぱいです。
収益性ばかりに目を奪われてしまうと、企業にとって最も大切な財務体質が悪化し、安全性が低下するのです。
訪問した企業では、広い倉庫、棚の多さ、カーゴや通い箱が山積みになっているのが目に付きました。
つまり、過大な在庫を保管するスペースが広いのです。
在庫を適正な水準に保つには、科学的に算出した最適在庫量を明確にする必要があります。
そして、日々の受注状況と生産のバランスをとる管理力が求められるのです。
「在庫はおカネ」の意識を全社員に徹底させ、おカネを眠らせないようにするのが経営者の役割なのです。
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