B/S面積グラフから考えてみよう(49)
古山喜章です。
さまざまなオフバランス①
~土地を売却する~ その4
その3の記事で、
土地売却後の、経営指標や剰余金の変化を解説しました。
今回は、そもそもなぜ、土地を買ってしまうのか?
ということに触れてみます。
今回の事例でいうと、土地を買う前の面積グラフはどうだったのか?
土地購入に際し、手持ちの現預金を30%運用し、
残りの70%を長期借入金で調達した、とするなら、
このような状況だったわけです。
下記、左側の面積グラフが、土地を買う前の状態です。
購入前の自己資本比率は50%、
自己資本に対する借入比率を示すギヤリング比率は80%、
と、決して、悪くはありません。
さあ、問題はここからです。
B/S中心の経営者は、この状態で土地を買う、
という発想はありません。
“これだけ現預金があるなら、借入金を減らそう”
“土地は借りればいいだろう”
となります。
ところが、P/L発想の経営者は、
“現状の利益が出ているなら、借りるのも、買うのも変わらない”
“いっそのこと、買ってしまおう”
となります。
“現状の利益”がどうか、ということが判断基準であり、
“現状のB/S”がどうか、という基準、発想がないのです。
そこが落とし穴となり、土地を購入してしまうわけです。
しかし、土地は減価償却ができませんから、
純利益からしか、返済資金を生み出すことができません。
さらに、借入が増えるわけですから、
金利が増え、経常利益を下げる要因となります。
つまり、土地を買うことによって、
キャッシュフローが、たちまち悪化してしまうのです。
楽だった資金繰りが、一気に、厳しくなります。
新たな土地が必要な場合、
借りる方法と、買う方法、があります。
買う方法をとろうとする場合、キャッシュフローのことを、
十分に検討していただきたいのです。
で、買わずにすむなら、買わないでほしいのです。
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