B/S面積グラフから考えてみよう(52)
古山喜章です。
~剰余金を縮めて株価を下げる~②
前回、剰余金を減らすため、
まずは、過剰な現金で借入金を返済しました。
その結果、B/S面積グラフは次のようになりました。
しかし、これでは、借入金が減っただけで、
剰余金は縮まっていません。
剰余金の面積は変わっていませんね。
で、次に、固定資産の投資を売却しました。
これは、とある国の外国債券でした。
銀行から
“この国の経済はこれからどんどん伸びますよ”
“上がりますよ”
などとそそのかされ、購入したものです。
しかし、多くの場合がそうですが、その通りにならず、
半分くらいの価値になっていたのです。
それでも、売れば半分は現金になり、
残りの半分は評価損の特別損失を計上できるのです。
しかも、その特別損失に相当する経常利益が、
その年度末には予測できていました。
これはもう渡りに船で、即座に売却したのです。
すると、面積グラフは次のようになりました。
投資の半分は現金化され、現預金が増えました。
残りの半分は売却損となり、剰余金がその分、縮まりました。
経営者は最初、
“今売ったら損するじゃないですか!”
と言っておりましたが、
“赤字が出るからいいんじゃないですか”
ということでその意味を説得し、売却にいたりました。
その結果、総資産は縮まり、税金のキャッシュアウトは減り、
売却の現金は手元に入り、いいことづくめだったのです。
その時、その経営者こう言いました。
“あのぉ・・・実は、個人でも同じ外国債権を買ってるんですけど、
それも売ったほうがいいですよね?”
あきれましたが、すぐに売却したのはいうまでもありません。
こうして、
特別損失のうまみを実感し、特損計上に拍車がかかったのです。
(つづく・・・)
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