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2012年10月30日 (火)

B/S面積グラフから考えてみよう(52)

古山喜章です。

~剰余金を縮めて株価を下げる~②

前回、剰余金を減らすため、
まずは、過剰な現金で借入金を返済しました。
その結果、B/S面積グラフは次のようになりました。
Mensekirei561

しかし、これでは、借入金が減っただけで、
剰余金は縮まっていません。
剰余金の面積は変わっていませんね。

で、次に、固定資産の投資を売却しました。
これは、とある国の外国債券でした。
銀行から
“この国の経済はこれからどんどん伸びますよ”
“上がりますよ”
などとそそのかされ、購入したものです。

しかし、多くの場合がそうですが、その通りにならず、
半分くらいの価値になっていたのです。

それでも、売れば半分は現金になり、
残りの半分は評価損の特別損失を計上できるのです。
しかも、その特別損失に相当する経常利益が、
その年度末には予測できていました。

これはもう渡りに船で、即座に売却したのです。
すると、面積グラフは次のようになりました。
Mensekirei562

投資の半分は現金化され、現預金が増えました。
残りの半分は売却損となり、剰余金がその分、縮まりました。

経営者は最初、
“今売ったら損するじゃないですか!”
と言っておりましたが、
“赤字が出るからいいんじゃないですか”
ということでその意味を説得し、売却にいたりました。

その結果、総資産は縮まり、税金のキャッシュアウトは減り、
売却の現金は手元に入り、いいことづくめだったのです。
その時、その経営者こう言いました。
“あのぉ・・・実は、個人でも同じ外国債権を買ってるんですけど、
 それも売ったほうがいいですよね?”

あきれましたが、すぐに売却したのはいうまでもありません。
こうして、
特別損失のうまみを実感し、特損計上に拍車がかかったのです。
(つづく・・・)

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