企業で起こる不正④
福岡雄吉郎です。
今回は、化粧品の製造業(X社)で起こった不正を紹介します。
化粧品は、出版や医薬品と同じく、
販売店で売れ残った商品は、
返品できる業界構造になっています。
X社でも当然のように返品が発生します。
X社の九州営業所では、返品が発生した場合、
営業担当者が得意先に出向き、
直接回収することにしていました。
そして、各担当者が持ち帰った返品は、
まとめて、本社倉庫に送付し、
倉庫担当者が返品の確認を行っていました。
このX社に、あるとき、営業所から一本の電話が入りました。
そこのある営業担当者が、返品された一部を
自宅に持ち帰っている、というのです。
本社が調査したら、実に数百本の化粧品が
自宅に持ち帰られていました。
この担当者は、それを通常より安い価格で、
近所の人や知り合いに販売していました。
小遣い稼ぎのために、会社の資産を横領していた、
ということです。
通報した営業担当者以外の人間も、
薄々気づいてはいました。
しかし、不正を行った営業担当者は、
所内での売上もトップクラスの、ベテラン営業マンであったため、
なかなか口に出すことができなかったようです。
今回のような不正を防止するには、
1)得意先からの返品は、営業担当者が回収するのではなく、
全て本社倉庫に一括送付してもらうこと
営業担当者のなかには、
「この得意先は気難しく、直接対応しなければいけない」
などと言う人もいるかもしれませんが、
全社的に方針が変わった、ことなど説明し、
例外を作らないようにすることが大切です。
2)返品内容(商品名、数量等)について、
得意先がサインした書面を必ず入手して、
返品された現物と照合すること
X社では、倉庫担当者が返品確認をする際、
得意先ではなく、営業担当者が作った書類と
現物を照合していました。
営業担当者が返品数量をごまかしても、
気づくことはできなかったのです。
3)返品確認後、得意先に対して、
実際に確認した返品内容(商品名、数量等)の
連絡を行うこと
内容に誤りがあれば、得意先から連絡が入りますし、
請求段階になって、もめることも防止できます。
返品は、モノを売るという商売であれば、
どのような業種でも起こりうるものです。
「返品数量は少ないし、大した金額でもないから」
といって、営業担当者任せにしている会社は、
一度自社の返品の流れを、確認されてはいかがでしょうか。
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