P/Lも面積グラフで書いてみる ④
古山喜章です。
④~税引前利益を赤字にする~
より多くのキャッシュを残すには、
税引前利益を赤字にし、税金のキャッシュアウトを減らしなさい、
と申し上げています。
その為には、
オフバランスをするなどして、特別損失を計上すればよいのです。
特別損失や特別利益が何もなければ、
経常利益=税引き前利益となり、その約40%が法人税となります。
前回紹介したグラフがそうでしたね。
残るキャッシュは、
減価償却費+純利益 です。
しかし、この会社が仮に、含み損のある土地を売却し、
経常利益の2倍以上もの特別損失を計上したとします。
すると、次のようになります。
特別損失が経常利益の2倍以上あるわけですから、
税引前利益は損失となり、図の文字の通り、赤字になります。
税引前利益が赤字なら、法人税は発生しません。
つまり、残るキャッシュは、
減価償却費+経常利益 ということになります。
特別損失がない場合と比べたら、
法人税がなくなる分、その分キャッシュが多く残るのです。
しかも、この赤字は翌年度にも繰り越せます。
(最大9年間繰り越し可能です)
なので、翌年度も同じだけの経常利益なら、その年度も、
法人税が不要ということになるわけです。
中小企業の資金繰りを考えるうえで、
この違いがいかに大きいかは、
経営者の方々が、一番よくご存じでしょう。
だから、
“オフバランスをしなさい!”
“含み損のある土地、有価証券は売却しなさい!”
と申し上げるのです。
とはいえ、オフバランスするにも、エネルギーが必要です。
それでも、含み損のある資産があるのなら、
手順を踏まえ、証憑書類を残し、実践してほしいのです。
それによって、
この厳しい環境を乗り越える、財務の体力がつくのですから。
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