企業で起こる不正⑤
福岡雄吉郎です。
今回は、倉庫で起こった不正を紹介します。
医薬品を扱う東北地方のA社では、
取り扱うアイテム数が膨大であり、
日常業務が多忙である、などといった理由で
年に1回しか、棚卸が行われていませんでした。
日常業務では、担当者ごとにエリアが割り当てられ、
棚卸の際も、「普段のエリアを担当したほうが早いから」と、
同じ担当者が同じエリアを長期間にわたって、担当していました。
ある年の年度末の直前に、
長年倉庫担当だったBさんが、
交通事故にあって、入院してしまいました。
やむなく、別の人間がBさんのエリアを担当することになりました。
そして、棚卸のときに、
あるはずの在庫の一部が、保管されていないことが分かりました。
実はBさんが、横領して横流ししていたのです。
Bさんは、同じエリアを10年以上担当していました。
これまでの棚卸の際も、そのエリアをBさんが担当していたため、
横領は発覚しなかったのです。
今回の事例をふまえると、
倉庫での横領を防止するには、
・倉庫担当者を定期的に移動させること
・棚卸を毎月行うこと
・棚卸の際には、普段のエリアと別のエリアを担当させること
・本社の経理、総務スタッフが棚卸を手伝うこと
などが、対策として考えられます。
A社では、棚卸が年に1回しか行われていませんでした。
「棚卸は全品やる必要があるため、
年に1度か、半期に1度しかできない」と考えている会社があります。
取扱アイテム数が膨大であれば、
・エリアを区切る
・売れ筋商品から行う
など、循環させて棚卸を行えば、
現場の負担も少なく済みます。
棚卸は、
・売上原価を確定させるため
・滞留商品を把握するため
以外に、不正防止、発見の観点からも重要です。
棚卸をこまめに行うようにすると、
最初は手間も時間もかかるかもしれません。
しかし、次第にスムーズに行えるようになり、
日頃から、整理整頓のクセが身に付くようになります。
A社のような在庫管理を行っている会社は、
棚卸の方法などについて、
一度検討してみてはいかがでしょうか。
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