企業で起こる不正⑩
福岡雄吉郎です。
今回は、仕入発注時に起こる不正について紹介します。
A社は、中国地方を中心に、引越業を展開していました。
引越の際には、さまざまな大きさの段ボール、
緩衝材、ガムテープなど多くの資材が必要になります。
A社の、とある営業所では、
資材の発注業務、検収業務は長年Oさんが担当していました。
このOさんが、仕入業者と結託して不正を行っていたのです。
例えば、1個500円のXという資材を100個発注したとします。
本来ならば、仕入代金は50,000円(500円×100個)ですが、
仕入業者に、50,000円分上乗せして請求させます。
出納担当には、100,000円の請求書が送付されます。
出納担当は、到着した請求書を淡々と処理するのみです。
営業所長も、その関心は営業(売上)ばかりで、
支出(費用)については、まったく関心がありませんでした。
Oさんを信頼していたということもあったのかもしれません。
いずれにせよ、請求額については、特にチェックをせず、
疑問をもたないまま承認が行われ、請求額通り支払われていました。
また、別の仕入業者に対しては、実際の納入数量は100個なのに、
200個発注・検収したことにして、過大請求をさせていました。
発注業務と検収業務の双方をOさんが担当し、
資材の棚卸も定期的に行っていなかったため、
社内で発見することはできなかったのです。
いずれのケースも、上乗せ分のうちの一部が、
仕入業者からOさんのポケットへと流れていたのは、
いうまでもありません。
さらに、これまた別の仕入業者に対しては、
資材を発注する見返りとして、
キックバックを受け取っていました。
この仕入業者側が、本部に連絡を入れたことがきっかけとなり、
色々と調査を進めていくと、これらの不正が発覚したのです。
あらゆる業種で「仕入」という行為は発生しますので、
どの企業でもこうした不正は発生しえます。
仕入発注に関する不正を防止するには、
(1)発注業務と検収業務の担当者を分けること
(2)担当者を定期的に入れ替えること
(3)請求書の内容(仕入単価)をチェックすること
(4)粗利率の推移をチェックすること
などが対策として考えられます。
小規模の拠点では、担当者の分離や入れ替えを
行うことが難しい場合があります。
その場合でも、所長が、請求書の内容(仕入単価)や粗利率推移を
こまめにチェックすることで、不正に気付くことが可能です。
改めて、各拠点の仕入業務がどのように運営されているか、
確認されてはいかがでしょうか。
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