本には書けない、実務の世界 ②
古山喜章です。
経営や管理業務に関するノウハウ本には、
あるべき姿が書かれています。
しかし、実務をやっていると、
全うなノウハウだけでは行き詰まる場面に巡り合います。
~返品処理のナゾ~
「返品が発生した際には、その物品に伝票を添えて、
出荷部門に戻し、返品処理をする」
という原則が、ノウハウ本などでは書かれています。
つまり、品物と伝票は一対である、という原則ですね。
しかし、
現場を生き抜く従業員のチエなのか、単なる悪知恵なのか、
そうではない場面にたびたび出くわしました。
購買担当をしていた、若かりし頃の話しです。
いつもの納品業者のドライバーが、
「冷蔵庫にジュース置いときましたから、みんなで飲んでください!」
というのです。
「えっ!いいんですか?」と尋ねると、
「うん、〇〇スーパーで店内期限切れが近づいてる商品を引き上げてきたんですわ。
持って帰っても廃棄するだけやし、まだ飲めるもんやから、どうぞ飲んでください!」
「ありがとうございます!」
という軽い会話で、そのようなことが頻繁に行われていました。
今から思えば、
あの返品処理は、伝票だけでやりとりされていたんでしょうね。
出荷部門にしても、日々、大量に返品商品が現場に帰ってくると、
その管理が大変です。
返品伝票との照合など、いちいちやってられません。
とにかく返品伝票のみを処理し、返品商品はノーチェックで速やかに廃棄してゆく。
ということが、あちらこちらの現場で繰り返されていたのです。
その後、
物流管理のシステム化や、社内監査の強化などが進むにつれ、
そのようなことは少なくなりましたね。
しかし今でも、返品商品が無造作におかれている出荷現場を見かけます。
返品商品がどこか別のところへ行く、という状況は、
今もどこかで残っているのだと思います。
とかく、
現場は理屈どおり、ルールどおりには動かきません。
そのことをわかった上で、システム化を図り、
チェックの仕組化を整えてほしいのです。
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