企業で起こる不正⑬
福岡雄吉郎です。
今回は、売上代金回収に関する不正です。
パンや菓子などを製造し、個人商店などに販売するO社の話です。
社長は、売上を伸ばすことに懸命で、
売掛金の回収には、無関心でした。
社内会議で、経理担当者が
「未収入金が増えてきています。
一度、未収入金の状況を整理したほうがよいです。」
と発言しても、反応はよくありませんでした。
しかし、担当者が繰り返し発言するので、
「そこまで言うなら」と、重い腰をあげました。
「未回収先には、2名1組で訪問し、
状況確認のうえ、報告するように」と指示しました。
O社には複数の営業所がありました。
そのうち、未回収の売掛金が目立っていたのが、W営業所です。
W営業所は、人数が少ないこともあり、
Y所長も、一部回収業務を行っていました。
Y所長の担当先にも、未回収先が複数ありました。
部下が、「所長、同行します。」と言っても、
「あそこは、おれ1人で十分だ」と社長の指示は無視でした。
しかし、しばらく経っても、訪問した様子はありません。
Y所長の様子が気になった部下は、本社に連絡しました。
そして、本社から、未回収先に連絡すると、
Y所長が横領していたことが分かりました。
未回収先の売掛金は、すでにY所長が現金回収しており、
実は、未回収先ではなかった、ということです。
今回の不正は、Y所長に非があったのは、言うまでもありません。
しかし、未収入金の把握や、回収に関する仕組みがなかったO社にも、
問題がありました。
対策としては、
①売掛金は、振込により回収すること
②経理部は、未収入金一覧表を作成し、経営者に毎月報告すること
(一覧表には、過去経緯、当月状況、今後の方針を書く)
③未回収先には、経理部から先方に連絡すること
④経理部が、「残高確認書」で売掛金残高を把握すること
などが、考えられます。
未収入金の把握、回収が営業所任せだと、不正が起こりやすいです。
本社(経理部)を関与させることで、こうした不正を防止、
あるいは、発見できる可能性が高まります。
売掛金の横領を防ぐためにも、
会社のキャッシュフローを良くするためにも、
売掛金の回収業務について、見直しされてはいかがでしょうか。
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