ハイリスク・ハイリターンのビジネス
古山喜章です。
ヒットミュージカル「レ・ミゼラブル」の映画化作品が公開され、
興行的にも活況を呈している、というので見にゆきました。
なるほど、公開から4週目に入っても、なかなかの入りです。
長年の私の勘では、興行収入40億円くらい狙えそうな勢いです。
私がこの映画化の企画を知ったのは、
振り返ればなんと、約25年前です。
話題になっては立ち消え、それを延々繰り返し、ようやくの公開です。
しかし、今公開ですから、投じた資金をまだ回収できていないわけです。
製作費は約60億円と発表されていますから、
興行主や、配給会社の取り分を考えると、
少なくとも世界市場で100億円以上は稼いでほしい、という思いでしょうね。
まあ今の興行の感じだと、そのラインをどこまで超えるか、
というところなのです。
とにかく映画ビジネスというもの、先に投じる資金が必要です。
しかも、そのほとんどは、ヒットしません。
まさしく、ハイリスク・ハイリターン、なのです。
この映画のプロデューサー、キャメロン・マッキントッシュは、
本来、舞台ミュージカルのプロデューサーです。
「キャッツ」「オペラ座の怪人」「ミス・サイゴン」「レ・ミゼラブル」
などを世に送り出しています。
見たことなくても、タイトルは聞いたことがある、という作品がズラリと並びます。
その作品群は、毎日、さまざまな国で稼いでいます。
いわば、現代ミュージカル界のドン、といった存在です。
そんな彼だからこそ、資金を調達することができたし、
長期間にわたる多くのカベをも乗り越えて、実現できたわけです。
やはり、財務力・資金力ありき、なのです。
ハイリスク・ハイリターンで取り組む事業の場合、
最悪の結果となっても、
そのリスクを吸収できるだけの企業体力が必要です。
これは、映画ビジネスに関わらず、そうなのです。
夢やロマンや時流だけで、何かを追い求めることは、危険極まりないのです。
それは事業ではなく、投機やギャンブルと何ら変わりません。
海外進出!新規事業開拓!といったところで、成功するとは限りません。
これも同じくハイリスク・ハイリターンです。
財務力・資金力が必用なのです。
その取組がコケたら、本業の屋台骨にゆがみが生じかねない、
という事業なら、安易に手を出さないでほしいのです。
財務力をつけてから、新たな取り組みを行う。
あるいは、
財務力のあるうちに、次の儲け柱への投資を行う。
というように、考えてほしいですね。
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