売上シェアにとらわれるな
古山喜章です。
“これからは売上シェアにこだわらず、利益重視でいきます”
という企業がありました。
その理由をお聞きすると、
“1位のシェアを取りにかかると、値段をたたかれるので、
結局、利益がものすごく低くなるんです。”
“それに、仕入の支払から回収までの期間が長いので、
シェアを伸ばせば、借入金がどんどん増えるんです”
ということでした。
そうなのです。
材料を仕入れ、在庫を持ち、販売し、そのお金が入ります。
特に輸入資材を仕入れる場合など、
材料を出荷する前に支払いが発生したりします。
加えて当然、給料、賃料、旅費など、諸経費も発生します。
こうなると、ますますもって、運転資金が大きくなります。
で結局、
値段はたたかれる、金利は増える、管理も増える、
と、コストアップ要因ばかりなのです。
シェアナンバーワンは取ったものの、
利益は2番手、3番手と変わらない、ヘタすりゃ、それより小さい、
ということもありえるのです。
ならば、
2番手、3番手でも、1位の時と同じ利益を残す方が良いのでは?
とお考えになられ、冒頭の言葉に行き着いたわけです。
それに、売上が大きくなると、借入金だけでなく、
在庫、売掛金、受取手形、借入金、それに現金などが膨れます。
つまり、総資本が大きくなってゆくのです。
となると、自己資本比率が下がってしまいます。
資金調達交渉の最大の武器である、自己資本比率が悪化するのです。
資金調達が必要な業態なのに、売上をやみくもに追うことで、
その交渉力を落とすことになってしまうのです。
売上シェアというのは所詮、過去のものです。
それよりも、今のキャッシュフローが見える、
バランスシートにこだわってほしいのです。
« 有期契約5年で無期契約切り替えへの疑問 | トップページ | 売上が2割落ちたら銀行はどう思いますか? »
「経営」カテゴリの記事
- 5年、10年経てば変わる②(2025.01.21)
- 5年、10年経てば変わる①(2025.01.20)
- 2025年のうちに進めておきたいこと④(2025.01.17)
- 2025年のうちに進めておきたいこと➂(2025.01.16)
- 2025年のうちに進めておきたいこと②(2025.01.15)
コメント