売掛金の回収状況をチェックする
福岡雄吉郎です。
「売掛金の回転期間」という言葉をご存知でしょうか。
ある時点における売掛金が「何日分の売上に相当するか」
を表す用語です。
計算方法は、
売掛金残高(①)÷1日あたり売上高(②)です。
例えば、
①現在の売掛金残高が「100」
②1日あたりの売上高が「10」
なら、回転期間は、100÷10で、「10日」です。
この数値が小さいほど回収が早く、
大きいほど回収が遅い、ということになります。
ですので、小さいほうが望ましいですね。
これを、得意先元帳や売上台帳などを使って、得意先別に計算します。
期の途中で計算する場合、①②はそれぞれ、
①・・・その時点の売掛金残高
②・・・その時点の売上高÷期の初めからの経過日数
となります。
年度決算書を使って計算するなら、売上高÷「365」日
四半期の数字を使って計算するなら、売上高÷「90」日、です。
そうして出てきた、計算上の回転期間(日)を、
各得意先の実際の回収サイトと比較すると、
思わぬ発見をすることがあります。
回転期間というのは、あくまで機械的に計算した結果ですので、
実際の回収サイトと多少の誤差は出てきます。
ところが、Y社でこの計算をしたとき、
計算上の回転期間が、実際の回収サイトに比べて、
明らかに長い得意先が複数ありました。
例えば、実際の入金条件は、「締め後60日」であるのに、
計算上の回転期間が120日、といった得意先があったのです。
これらの得意先について、調べていくと、
ある得意先では、回収が大幅に遅れていることが、
別の得意先では、営業担当者の不正(架空売上)が分かりました。
Y社は、管理部門の人手が足りず、
経理担当者は、日常業務(伝票処理や試算表作成)で
手一杯の状況でした。
回収状況や営業担当者の不正をチェックできる体制では
ありませんでした。
得意先台帳で入金状況などを、細かく見ることは効果的です。
しかし、一つ一つ見ていくとなると、時間もかかります。
ざっくりしていますが、上記のような観点から、
例えば、
・取引額の重要な得意先に限定して確認する
・毎月一定の件数を確認し、ローテーションでまわしていく
などして、得意先の状況を確認されてはいかがでしょうか。
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