試供品はありませんか?
福岡雄吉郎です。
ときどき、損益計算書で「試供品費」という科目を見かけます。
新製品発売時のサンプル代などです。
サンプル代は販売促進費として計上している、
という企業もありますが、いずれも少し注意が必要です。
試供品や試作品の数量管理は、
他の在庫(商品、製品、仕掛品など)と比較して、甘くなりがちです。
・試供品の製造コストは費用で処理されること
(=B/Sに在庫として計上されない)
・正式な売りモノでない、という意識が強いこと
などが、その理由と考えられます。
そうなると、不正が起こる可能性が高まります。
あるメーカーでは、試供品の管理がおざなりだったため、
2つの不正が発生しました。
①営業マンが大量に持ち去ってしまった
②試供品費が過大請求された
この会社では、一部の製品を外部に委託しており、
試供品の製造も外注していました。
①は、営業マンが必要以上に要求していたことが原因です。
得意先に配布後、余った分を自宅に持ち帰っていました。
「試供品だから、とにかくたくさん必要なのです。」と言われ、
本当に必要な量の精査ができていませんでした。
②は、自社の仕入担当(Aさん)と、外注先X社が結託していました。
AさんがX社に試供品費を過大請求させ、
その後、X社からAさんにその一部が、バックリベートとして渡りました。
実際は、300個の発注でも、600個発注したようにみせかけて、
請求額を上乗せさせていました。
このメーカーでは、試供品について、
・必要量の検討が不十分
・納入時に検品をしない
・受払記録はとらない
・棚卸はしない
など、通常の仕入にくらべて、管理が甘くなっていました。
経理部長が、各費用について前期比較を行った際に、
試供品費が大きく増えていることに気づきました。
調査の結果、これらの不正が分かったのです。
自社に試供品がある場合には、
・試供品費が膨らんでいないか
・取扱いルールはどうなっているか
など、検討されてはいかがでしょうか。
« キャッシュレス対応 八策 その6 | トップページ | 経営計画は厳しめに »
「社内不正」カテゴリの記事
- 不正は、毎日どこかで起きています⑧(2018.05.09)
- 不正は、毎日どこかで起きています⑦(2018.05.02)
- 不正は、毎日どこかで起きています⑥(2018.04.25)
- 不正は、毎日どこかで起きています⑤(2018.04.20)
- 不正は、毎日どこかで起きています④(2018.04.18)
コメント