在庫の回転をチェックする
福岡雄吉郎です。
前回は、売掛金の回転期間を紹介しましたが、
売掛金同様、在庫にとっても、回転期間は重要です。
在庫の回転期間とは、
ある時点における在庫が「何日分の売上原価に相当するか」
を意味します。
計算方法は、
在庫残高(①)÷1日あたり売上原価(②)です。
この数値が小さいほど、仕入(製造)してから売れるまでの期間が短く、
大きいほど、在庫してから売れるまでに時間がかかる、
ということになります。
売掛金の回転期間と同じく、これも小さいほうが望ましいです。
このとき、分母(②)は売上で計算するのではなく、売上原価にしないと、
回転期間が実際より短く計算されるので、注意が必要です。
回転期間(日)は、あくまで機械的に計算した結果ですので、
実際との多少のズレは出てきます。
ズレはでますが、いろいろな切り口で計算して、比較検討してみます。
・アイテム別に計算してみる
・営業拠点別に計算してみる
・保管倉庫別に計算してみる
・実際の現場の感覚と比較する
実際にやってみると、思っている以上に、
回転期間の長い在庫があることに気が付きます。
回転期間が長いアイテムは、長い間売れていない、
つまり、デッドストックであることを意味します。
デッドストックがあるなら、廃棄して特別損失に計上するのです。
そうすることで、税金負担も減らすことができ、
ROA(総資産経常利益率)も高めることができます。
ある卸売業で分析した結果、
回転期間が他の倉庫に比べて、異様に長い倉庫がありました。
回転期間の長い倉庫を詳しく調べると、
在庫は帳簿上だけで存在していて、
実際は既に廃棄していた、という事例もありました。
在庫を廃棄したものの、会計上では廃棄処理を行わず、
帳簿に残したままになっていたのです。
だから、回転期間が他の倉庫に比べて、長くなったのです。
在庫は売掛金同様に、滞留や不正に注意する必要があります。
例えば、
・アイテム別であれば、毎月一定の件数を
・拠点(倉庫別)であれば、毎月1拠点を
ローテーションさせて、検討されてはいかがでしょうか。
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