借金したら相続税が下がるって本当ですか?
古山喜章です。
ある経営者からの質問です。
「借金したら相続税が下がるって、本当ですか?」
“誰が言ってるんですか?”
「R銀行が言ってました。」
“で、どう言ってるんですか?”
尋ねると、要はこういうことです。
仮に1億円の相続財産があるとして、
5千万円の借金をして賃貸物件を建ててください。
そうすれば、
1億円の財産から借金の5千万円を引かれて、
相続税が計算されますから、相続税がトクしますよ、
というのです。
“相続税が安くなっても、
借金の5千万円を返さなきゃダメじゃないですか”
「それは物件を賃貸して、その賃料で返せばいいから、
問題ないみたいです。」
“でもね、賃料で5千万円返すのに、何年かかります?
その間ずっと、賃料が入り続けるかどうかなんて、
周囲の環境がちょっと変われば、どうなるかわかりませんよ。
金利も要りますよ。”
「やらない方がいいですか?」
“大体、いままで銀行の提案を受けて、トクした事がありましたか?”
「う~ん、一度もないです!」
ということで、銀行の提案は却下することになりました。
隣にいた後継者は、ホっとしていました。
まあ、ここがわからないところなのですが、
これまでに何度も銀行の提案で痛い目にあっていても、
“トクしますよ”
“節税になりますよ”
という言葉には、とことん弱いのですね。
とにかく、
銀行が提案するスキームには、
もれなく銀行融資が付いてきます。
で、融資さえすれば、あとは経営環境がどうなろうと、
回収と金利の徴収が継続するだけです。
一番トクするのは、銀行です。
最近、
このようなことを銀行から勧められた、
という事例をいくつか聞きました。
甘い誘いにうっかり乗らないでくださいね。
ちょっと経営環境の風向きが変わってくると、
浮かれ気分でポンっと乗っかってしまう人が多いのです。
銀行は、そこを狙っているんですよ。
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