財務を動かす損得感情 ②
古山喜章です。
“得をしたい!”
決算書には、経営者のそんな想いが表れます。
②“借りるより、買ったほうが得でしょ!”
この想いが先行し、長期借入をして土地を買った。
すると、途端に資金繰りが厳しくなった。
そのような決算書にお目にかかる機会が、後を絶ちません。
土地は減価償却ができません。
借入すれば、返済原資は純利益しかないのです。
資金繰りが厳しくなるのは当然です。
このような方がおられました。
“土地を買ったときの借入は返済したのに、借金が減らないんです!”
“なぜそうなるのか、わからないんです!”
と、おっしゃられます。
私は一瞬、“??????”と思いました。
で、決算書を見ると、
長期借入金が減った分、しっかり短期借入金が増えています。
なんのことはない、
長期を返すため、短期を借りているだけのことです。
それを平気で、
“土地を買ったときの借金は終わった!”
と、思っておられるのです。(ちょっとコワイです。)
借金は終わってなどいないのです。
“で、銀行交渉はどなたがされているのですか?”
とお聞きしました。すると、
“新卒で20年以上在籍する経理担当者にまかせています”
とのことです。
財務のことはまかせっぱなし、いわゆる、財務オンチですね。
さらに、
“なぜ、借りずに買ったんですか?”とお聞きしました。
すると、
“借りて家賃を払い続けるより、買ったほうが得と思ったので・・・”
ということです。
(このお考えの方、多いですよ)
つまり、キャシュフローや資金繰りなど、まったく頭にありません。
なのに、財務に大打撃を与える判断を、平気でしてしまうのです。
「損か?得か?」の自分の感覚だけです。
知識なき経営判断は、バクチと同じです。
感覚だけで経営、特に財務は、判断できないのです。
自己資金で買う、子会社で買って本体で借りる。
など、財務戦略ありきで買うならかまいません。
しかし、財務に明るくない経営者が、
損得感情だけで土地や不動産を購入するのは、
危険きわまりないことなのです。
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