財務を動かす損得感情 ④
古山喜章です。
“得をしたい!”
決算書には、経営者のそんな想いが表れます。
④“そのうち返すから・・・”
貸借対照表の資産に、“貸付金”という科目を見かけます。
それも、
流動資産には、“短期貸付金”があり、
固定資産には、“長期貸付金”がある、
という場合があります。
で、過去3年ほどさかのぼっても、
金額がまったく減っていない、
ということがあるのです。
つまり、まったく返していないのです。
“この貸付金って、なんなんですか?”
後継者や財務担当幹部にお聞きします。
すると、
“あぁ、これは、社長への貸付金ですねぇ・・・”
“ぜんぜん減ってないじゃないですか?”
“そのうち返すから、と言われて出金したんですけど、
誰も「返せ!」なんて言えないんですよ・・・”
というパターンであったり、、
“社長が個人で株を買った分ですね・・・、
たぶん、損しているんで返せないんだと思います・・・”
というパターンなど、さまざまです。
いずれにせよ、
個人が得をしたいがために、会社のカネを私物化してる、
ということに変わりはありません。
しかも、社内の誰が言おうとも、聞く耳を持ちません。
それに多くの場合、誰も言えません。
会社の資産は、業績を上げるためのものです。
それを、何を勘違いしているのか、
“オレが稼いだカネはオレの自由だ!”
と言わんばかりに、私物化しているのです。
しかも、
貸借対照表の右側には、しっかり、借入金がある、
というパターンがまた多い。
結局、銀行借入金を、私物化しているのと同じです。
その貸付金がなければ、
借入金をもっと減らし、総資産を減らし、金利を減らし、
自己資本比率を高め、総資本経常利益率を高める、
ということができたのです。
もっと銀行交渉に強くなれたのです。
天にツバする、とはこのことです。
個人ではなく、法人が得することを、
もっと考えて欲しいのです。
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