創業者一族の追放劇を読む
古山喜章です。
円谷プロの六代目社長が書いた、
「ウルトラマンが泣いている」を読みました。
(講談社現代新書 740円)
怪獣世代の私にとって、
円谷プロと言えば、「ウルトラマン」です。
そして、その創業者である円谷英二と言えば、
「ゴジラ」「モスラ」を生み出した、特撮の神様です。
怪獣世代にとっては、“あの円谷プロ”なのです。
しかし今、その円谷プロに、創業者一族は全くおりません。
かつての栄光と、創業一族追放に至るまでの経緯が、
事細かに記載されています。
円谷一族のお家騒動を、創業者の孫が明らかにした一冊です。
つきつめれば、
“財務不在のワンマン経営”が、原因です。
採算無視で制作コストをつぎこむ。
プール付きの豪邸を会社のカネで購入し、自宅にする。
ハワイやラスベガスで豪遊する。
無謀な海外拡大戦略を図り失敗する。
兄弟間のいがみあいが派閥を生み出す。
まったくのどんぶり勘定で、財務は一切無視。
なんと、
21世紀に入っても、経理の帳簿が手書きだったそうです。
特撮という技術を売りものにする会社が、ですよ。
同族経営の、さまざまな落とし穴が、この一冊に登場します。
同族企業の経営者、後継者には、一読をすすめる本です。
思い当たることがないことを、祈ります。
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円谷の社長が自社にカラオケルーム作ったインタビューを読んで、大丈夫かと思いましたけど。本当に倒産してしまった。
乗っ取りを図った企業の手口も悪辣で酷いですね。ー
投稿: | 2017年11月29日 (水) 06時41分