文脈のトリック
古山喜章です。
言葉や表現に、人は反応します。
しかし、
見る人・読む人の心理を逆手にとって、
したたかに表現する例を、よくみかけます。
税法などは、その代表例かもしれません。
例えば、少人数私募債の利子課税です。
“平成28年1月1日以降、同族・役員が受け取る
利子課税は、総合課税とする”
わかりやすく書くと、こう記載されています。
さあ、この一文を、どう解釈するか、です。
ここに、文脈のトリックがあるのです。
あれはダメ、これはダメ、ダメダメダメ・・・・。
税金を減らすなど、もってのほか!。
といった意識が強い税理士先生が読むと、
“平成28年1月1日以降は、とにかく全部、総合課税である”
と、認識してしまいます。
グレーはクロになります。
発行日に関する記載はまったくないのに、です。
これは、書き手の思うツボです。
駆け込み的な少人数私募債の発行を、
文脈のトリックで、押さえ込んでしまうわけです。
しかし、
実際に私募債を払い込んでいる経営者や、
私たちがこの文章を見ると、
“ん?いつ発行の私募債からが対象なんだろう?”
という疑問が、先に来ます。
で、附則や別法令文などの部分を読み込みます。
すると、平成28年1月1日以降発行分が対象となる、
ということが、読めてきます。
同じようなことは、ちまたに転がっています。
ダイエット食品等のCMのすみっこに小さく記載される、
“個人差があります。”や、
インターネットが安くなる!というCMに小さく記載される、
“キャンペーン期間のみ対象”
といったものと同様です。
“やせたい!”“安くしたい!”という人の心理を、
巧みに捉えて表現します。
そして、肝心なことは、脇道に書きます。
法令分なら、附則や別文書です。
ぱっと見える部分だけにとらわれず、
脇道の部分まで見て解釈することが、大切なのです。
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