労務コスト上昇にどう備えるか ④
古山喜章です。
“労務コストはまだまだ上がる!”
誰もがそう思っています。
なのに、改善しない企業が多いのも、事実です。
それは、
川沿いに家があるのに、増水への備えをしない、
ようなものです。
④無期雇用転換への対策
平成25年4月1日を起点として、
5年を超えて労働契約を締結すると、
その雇用者には、無期雇用契約への、
転換申込みの権利が発生する、
との法改正がスタートしています。
加えて、企業側は、“5年を超えて契約しない”
ということを契約時に申し出ていていない限り、
無期契約への転換を、拒否することはできません。
かなり一方的な、法改正です。
確認しておきたいのは、
期間の定めのない契約への転換、
ということです。
なので、正社員になる、という事ではありません。
時給もそのままです。
対策が必要であるとすれば、次のようなことです。
(1)5年間を超えて労働契約を結ばないようにする。
まあ考えてみれば、当たり前のことですね。
そのためには、
次のようなエビデンス(証拠)を残しておくことです。
①有期従業員も、簡単な人事考課を毎年つけてゆく。
能力面の評価と勤務態度、協調性など、10項目程度でよい。
②遅刻など、勧告・是正事項は、記録し、本人のサインをもらう。
イエローカードは、きっちりと記録しておくことです。
(2)最初の契約に、“5年を超えて契約更新しない”
という文言を入れておく。
ただし、この場合、
5年を超えて契約したい人がいると、困りますね。
(3)子会社があれば、A社、B社、と交互に契約する。
A社で3年、B社で3年、とすると、
転換申込みの権利は生ずることがありません。
これは、直接的に労務コストがアップする、
ということではないかもしれません。
しかし、こんなことも、
知らなければ、切りたい人を切れなくなります。
となると、
投資効果の薄い人件費となったり、
労務トラブルに時間とコストを費やす、
ということになりかねないのです。
特に、有期契約のパートがいる企業は、
(1)の対策をしておいてほしいですね。
長くいてもらってもいい人材なら、それでよし。
困る人材なら、5年を超えるまでに契約を終える。
そのためには、
人事考課やイエローカードが、生きてくるのですから。
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