労務コスト上昇にどう備えるか ⑤
古山喜章です。
“労務コストはまだまだ上がる!”
誰もがそう思っています。
なのに、改善しない企業が多いのも、事実です。
それは、
川沿いに家があるのに、増水への備えをしない、
ようなものです。
⑤高齢者継続雇用への対策
平成25年4月1日より、
高齢者雇用に関する「改正高年法」が施行されました。
老齢年金支給年齢の引き上げに伴い、
無年金者を無くすことが目的です。
法の詳細は最寄りの社労士先生に確認下さい。
今回の改正でのポイントは、
「本人の希望があれば、65歳まで、
雇用継続することを原則とする」
ということです。
とはいうものの、
継続雇用したくない社員がいる場合もあります。
今いなくても、そのような存在が現れるかもしれません。
で、どうするか、です。
65歳までの雇用継続は、原則です。
厚生労働省によって作成された、この法律の運用指針では、
ふたつの場合において、継続雇用しないことができる、
としています。
(1)心身の故障の為、業務に堪えられないと認められる場合
会社が契約している医師の診断書が必要、としておくこと。
どこの医師でもよければ、いいように書かれる場合があります。
(2)勤務状況が著しく不良で、引き続いて職責を果たし得ない場合
就業規則に定める、解雇事由などに該当する場合、とされています。
特に、(2)著しく不良な勤務状況を、どのように客観的に示せるか、
ということが、ポイントとなってきます。
ここでもやはり、必要なのは、
人事考課であり、
不良事項への勧告記録(イエローカード)、
なのです。
解雇事由に該当する内容とは、次のようなものです。
①業務能力が劣悪で、業務に耐えられない
②強調がなく、従業員として不適格で、配置転換先もない
③勤務成績、勤務態度不良で、従業員として不適格
④事業縮小など、経済事情の都合により、人員整理が必要
⑤懲戒処分事由に該当し、雇用継続が不適格
これらのことに該当すると、客観的に証明できる、
エビデンス(証拠)を確保してゆく仕組みを設けておくのです。
それが、人事考課であり、不適合行動への勧告記録、なのです。
一度採用すれば、簡単に雇用を打ち切ることができない。
それは皆さん、よくおわかりです。
しかし、できないことではないのです。
無策であったり、感情論など、経営者の一方的な論理では、
成り立たない、ということです。
そうならないためには、
多少の手間をかけても、対策を講じるべきなのです。
労務コストを有効に使いたい、
労務トラブルに時間を割きたくない、
というなら、そのための行動を起こせば良いのです
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