仁義なき“銀行交渉” ~借入死闘編~②
古山喜章です。
仕事柄、資金調達における、
銀行交渉のナマの声を聞く機会が多くあります。
そこには、
貸す側のしたたかさと、
借りる側の交渉力のあり方を、垣間見ることができます。
②“決算書をいただくことができますから”
(①のつづき)
“借りなくてもいいから、枠だけでも残してください!”
融資シェアが一気に0%になった、
元メイン銀行の営業本部長が、必死のパッチでくらいついてきました。
想定外の発言を聞いた、
その企業の経営者から、私の元へ連絡が入りました。
“借りなくてもいいって言うんですが、なんででしょうか?”
私も銀行の真意はわかりかねるので、
“何か理由があるだろうから、この際、その営業本部長に聞いて見たら?”
ということになりました。
その営業本部長は、
今回シェアを失った支店の元支店長だったのです。
なので、
その経営者とは、その当時より、懇意にしている間柄だったのです。
で、ズバリ聞いてみたそうです。
“借りなくてもいいから枠だけでも残してほしい、って、なんでですか?”
“いや、そのぉ、言いにくいのですが、
当座貸越枠だけも残していただければ・・・、
御社の決算書をいただくことができますから・・・。”
“えっ??????”
“決算書をいただける関係がなくなったら、
我々(銀行)としては、また、
ゼロベースから営業活動を始めることになるんです!”
“そういうことですか・・・。”
そうです。
今回の件は申し訳ございません、と言いながら、
今後の立ち回りのことを、しっかり考えている、
ということです。
懲りないというかなんというか・・・・。
まあ、
当座貸越枠の契約さえあれば、
決算書をいただく、という依頼はできますからね。
どんな形であっても、繋いでさえおけば、
今後、支店長が替わろうとも、新たな融資の芽は残るわけですから。
銀行だって必死なのです。
これまでのパイプを完全に切られてしまう。
銀行にとっては、これが一番こわいのです。
であれば、
こちらにはその気がある、準備はできている、
ということを、銀行にチラつかせることが、
交渉をうまく進めるための、ひとつの方法となるのです。
で、
“枠だけでも残して下さい!”
という提案の結果はどうなったのか?
それは、また次回に・・・。
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