仁義なき“銀行交渉” ~借入死闘編~③
古山喜章です。
仕事柄、資金調達における、
銀行交渉のナマの声を聞く機会が多くあります。
そこには、
貸す側のしたたかさと、
借りる側の交渉力のあり方を、垣間見ることができます。
③“金利を優遇させていただきますので”
(②のつづき)
融資枠を失った元メイン銀行の営業本部長が、
“借りなくてもいいので、当座貸越の枠だけでも残して下さい!”
と、懇願してきました。
その真意は、
“枠だけでもあれば、決算書をいただけますから”
ということでした。
しかし、
むやみに当座貸越し枠を契約することもないので、
“契約の条件によって考えます”
ということになりました。
“わかりました!ありがとうございます!
金利を優遇させていただきますので!
よろしくお願いします!!!”
そして後日、金利が出てきました。
“以前より大きく下げさせていただきました!”
と、提示されたのは、
1.8%でした。
確かに、その企業では以前、2.8%とか、3%、
といった金利で融資を受けていました。
しかし、
今は、1%以下は当たり前で、
私たちは、0.5%を下回らせなさい!
と、申し上げています。
“いやいや、これはまだまだ高すぎますよ”
ということで、
再度交渉し、枠だけは残す、ということになりました。
というのは、
その地域には、そもそも銀行が少ないのです。
さらに、
今回メイン銀行の立場を失ったA銀行は、
かつては逆に、その立場を奪った銀行でもあったのです。
そのとき、約15年前、メインの立場を失ったのが、
今回協力してくれた、B銀行だったのです。
つまり、また入れ替わっただけ、なのです。
今後もいつ、同じようなことが起こるかわかりません。
なので、
枠だけなら残してもいいか、ということになったのです。
今の各支店長は、15年前のいきさつを、ご存じありません。
その15年前、メインをA銀行に変えるのに協力してくれたのが、
今回、本部から飛んできた、営業本部長だったのです。
それを取り返される、というのは、
営業本部長にとっては、大いなる屈辱だったのです。
加えて、
“金利を低くさせてもらいますから”
という提案も、あちこちで聞くフレーズです。
その言葉に乗せられて、あっさり契約する。
で、お聞きすると、全然低くない、
というパターンもよく見かけます。
以前より低いだけで、
世間相場より全然高い、ということが、よくあるのです。
本当に低いかどうか、判断する力や知識を、
経営者や財務担当者は、持っていて欲しいのです。
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