仁義なき “銀行交渉” ④
古山喜章です。
“銀行交渉に大切なのは、信頼関係です!”
“ウチは信用があるから、これだけの額を貸してもらえます!”
などなど・・・。
誤った認識で、不利な条件をのまされている会社を、
たくさん見てきました。
現代の銀行交渉に、義理・人情は通じません。
銀行にとっては、
生き残りをかけた、仁義なき戦い、なのです。
企業側も、その心づもりで臨まねばならないのです。
④“もう少し、シェアを広げさせていただければ・・・”
ある企業で、
土地売却によるオフバランスを進めていました。
しかしその土地には、メイン銀行の根抵当がついていました。
で、有償解除を申し入れ、借り換えのお願いをしたのです。
つまり、
新たに借りるお金で、前の借入残高を全部お返しするから、
根抵当を外して下さい、というお願いに上がったのです。
すると、その銀行支店長はこう言ったのです。
“それでしたら、○○銀行さんからお借りになっている分も、
こちらで融通しますので、それでいかがでしょうか?”
“えっ、どういうことですか?”
“いや、そのぉ、もう少し、シェアを広げさせていただければ・・・”
その企業は、2つの銀行から融資を受けていました。
そのことは、そのメイン銀行も承知です。
つまり、
融資のシェアを100%にさせてくれたら、有償解除を受入れる、
というような了見です。
これはかなり、ずうずうしい提案です。
“根抵当を外してほしいなら、この要求をのむだろう”
あるいは、
“こう言えば、そんな要求は撤回するだろう”
という、強気の発言ですね。
メイン銀行であり、根抵当を抑えている、
というたてのもと、色気を出してきたわけです。
“そういうことなら、少し考えさせて下さい。”
その企業の担当者は、そう応えました。
そうこうするうちに、そのメイン銀行は、
“土地を売ってオフバランスなんて、税務上、大丈夫ですか?”
“ウチなら、もっと良い提案をさせていただきますよ?”
“そう言えば、御社とは、20数年来のおつきあいですね”
などなどと、言ってくるようになりました。
結局、その銀行への信用は、ますます薄くなり、
他の銀行から借りて、現メイン銀行の残高を返すことにしたのです。
とはいうものの、その地域には、銀行の数そのものが限られています。
新たな借入ができるのか、という不安もありました。
そんなことも承知で、メイン銀行は強気だったのです。
しかし今や、
どの銀行だって、新たな融資を獲得したいのです。
その地域の第2地銀に話しを持ちかけたところ、
“ぜひ協力させてください!”
ということに、なってきたのです。
その時、
メイン銀行は、生き残りをかけた戦いが始まっていることを、
まだ、しるよしもなかったのです。
(つづく・・・。)
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