仁義なき “銀行交渉” ⑥
古山喜章です。
“銀行交渉に大切なのは、信頼関係です!”
“ウチは信用があるから、これだけの額を貸してもらえます!”
などなど・・・。
誤った認識で、不利な条件をのまされている会社を、
たくさん見てきました。
現代の銀行交渉に、義理・人情は通じません。
銀行にとっては、
生き残りをかけた、仁義なき戦い、なのです。
企業側も、その心づもりで臨まねばならないのです。
⑥“メイン銀行として、タカをくくっていました”
(⑤のつづき)
メイン銀行の強気の姿勢にガマンがならず、
ライバル銀行から融資を受け、
メイン銀行の残債を一気に返済してしまう、
という日になりました。
そして、
有無を言わせず有償解除をお願いする、
という実行に移ったのです。
で、メイン銀行に商談に伺いました。
支店長はまだ、商談内容を知りません。
異常気象により、あちこちで災害が続くなか、
“いやぁ、世の中いったい、いつ、何が起こるかわかりませんねぇ”
という、雑談が交わされていました。
そして、本題に入りました。
“実は、以前にもお願いしたのですが、
改めて、根抵当の解除のお願いにあがりました”
“いや、それは、返済をいただかないと・・・”
“あ、なので、つい先ほど、その金額を振り込みました。”
“えっ・・・・・・”
支店長の表情は、一変しました。
慌てて残高をチェックし、返済相当額の入金が確認されました。
“他行からお借りし、お返しになられた、ということですか・・・・”
“そういうことです”
“今さら言ってもなんですが、もう振り込まれた、ということですね・・・”
“そういうことです”
“いや、それは、先に一言、ご相談いただければ・・・・”
“いやいや、こちらは、いの一番に、相談をしましたよ。”
“そうです・・・けれども・・・”
“こちらはオフバランスしたいだけなのに、
協力的な姿勢をいただけませんでしたよねぇ”
“おっしゃられることは、わかります、しかし・・・・”
“このままでは、
我々が望むオフバランスは進まない、と判断したまでです。”
“・・・・、申し訳ございません。
メイン銀行として、タカをくくっていた、ということを、
深く反省させていただきます。・・・・”
“これで、根抵当は解除いただけますよね。”
“いや、も、もちろんでございます・・・”
これにて、メイン銀行からの融資はゼロになり、
協力いただいた地銀に、借入先が変わった、というわけです。
そして、根抵当解除の手続きが、始まったのです。
当然のことながら、
そのメイン銀行本部では大きな問題となり、
その後の動きもあるわけですが・・・・、
それはまた、別の機会に・・・・。
(これもなかなか、スゴイ話しなのです。)
銀行は、当然ですが、交渉事を有利に導こうとします。
メイン銀行であれば、なおさらです。
強気に事を進めようとする銀行マンが、多いのです。
しかし、それに流される必要はないのです。
どこかで断ち切り、
交渉事として、互角に向き合ってほしいのです。
それによって、残るキャッシュが変わってきます。
銀行との取引条件に力を注ぐことは、
財務基盤を強くし、経営を盤石なものにする、
ということに、繋がるのですから。
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