仁義なき “銀行交渉” ②
古山喜章です。
“銀行交渉に大切なのは、信頼関係です!”
“ウチは信用があるから、これだけの額を貸してもらえます!”
などなど・・・。
誤った認識で、不利な条件をのまされている会社を、
たくさん見てきました。
現代の銀行交渉に、義理・人情は通じません。
銀行にとっては、
生き残りをかけた、仁義なき戦い、なのです。
企業側も、その心づもりで臨まねばならないのです。
②“最近、○○銀行が、営業に来られてませんか?”
とにもかくにも、銀行は、融資先がなくて困っています。
なのに、新たな支店はあちらこちらで現れます。
銀行にとって、営業圏内に他行の支店ができることは、
“わが支店のシェアが奪われるのではないだろうか?”
という、脅威の存在なのです。
ある銀行の支店が、新たに開設された町での話しです。
仮に、B銀行とします。
その地域では、これまで、A銀行が勢力を強めていました。
私の知る会社は、A銀行をメインとして、融資を受けています。
その会社では、
最近ようやく、他行を交えて金利交渉に動き出しました。
A銀行の対応も、これまでとは少し違う様子になってきました。
そこに、B銀行の支店が出来たのです。
A銀行の担当者が来て、こういったそうです。
“最近、B銀行が来られていませんか?”
実際、あいさつ程度は来ていたので、
“まあ・・・、来てないこともないですよ”
と、含みをもたせた言い方で返答しました。
すると、数日後に、A銀行がまた来ました。
“いや実は、これまでの金利を見直させていただこうと思いまして・・・”
と、お願いもしていないのに、金利を下げてきたのです。
年間の額で言うと、約1千万円の金利減です。
結局、これまでの金利が高いことは、
A銀行もわかっていたのです。
それを承知で、金利交渉に特に動きのないこの会社に対して、
別段、働きかけをしてこなかったのです。
そりゃあそうですね。
しかし、それがようやく金利交渉に動きかけてきた。
加えて、新たなB銀行の支店が営業をかけてきているらしい。
ちまたで聞くところによると、
B銀行が言い回っている金利は、どうもウチより低いらしい。
これでは、わがA銀行のシェアを奪われるかもしれない。
ということで、A銀行は、
こちらから何も言わずとも、金利を下げてきたのです。
各支店にとって、
どの企業で、どの程度のシェアを獲得しているか、
は、支店のみならず、個人の査定にも大きく影響します。
銀行間の競争は、それだけ熾烈なのです。
やはり、お客さんをとられたくないのです。
そこに、借りる側の、つけいる余地が出てきます。
常日頃から金利交渉に動いておく。
新たな銀行の支店が近隣にできたなら、
“あそこの支店、このあいだ来たよ。結構ええ話しやったわ”
など、危機感を持たせる。
といった事を、仕掛けておくべきでしょうね。
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