仁義なき “銀行交渉” ①
古山喜章です。
“銀行交渉に大切なのは、信頼関係です!”
“ウチは信用があるから、これだけの額を貸してもらえます!”
などなど・・・。
誤った認識で、不利な条件をのまされている会社を、
たくさん見てきました。
現代の銀行交渉に、義理・人情は通じません。
銀行にとっては、
生き残りをかけた、仁義なき戦い、なのです。
企業側も、その心づもりで臨まねばならないのです。
①“金利一覧表を見せて下さい”
複数の銀行から融資を受けている企業でのことです。
どの融資も、妙に金利が高いのです。
3%とか、4%とか、なのです。
“ウチの業界では、こんなもんですよ”
“これでも昔より下がりましたよ”
最初はそう言っておられました。
しかし、その本人も、気になって担当者に聞いてみました。
銀行担当者は、永年勤務している、総務部長だったのです。
すると、大変なことが判明しました。
その担当者は各借入先に、
各銀行の金利一覧表を、毎年渡していたのです。
“どうしてそんな大事なものを渡すんだ!”
“えっ、それは・・、これまで毎年渡してますから・・・”
これでは、金利が下がらないわけです。
複数の銀行から借りている、というのは、
複数の仕入れ先から仕入れている、ということです。
どの仕入れ先からいくらで仕入れているか、
という資料を、各仕入れ先に渡しているのと同じ事です。
その総務部長の頭の中には、
“借りる”ということしかないのです。
さらに、
“借りれなかったらどうしよう”
という思いがあったのです。
そのため、銀行サマサマ病になり、
金利一覧表を、恒例行事のように渡していたのです。
金利が高いとか安いとか、考えたことがなかったのです。
銀行にとったら、こんなにおいしい資料はありません。
ライバル銀行の手の内が見えるのですから。
だから、どこの会社ででももらっているかのごとく、
“今年も金利一覧表をいただけますか?”
と、平然と要求していたのです。
で、銀行間で口裏を合わせたかのごとく、
高金利が並んでいたのです。
銀行からは、さまざまな資料提出が求められます。
必要なものならよいでしょう。
しかし、経営者の知らないところで、
不必要な資料を、担当者が何も気にせず渡している、
ということもあるのです。
銀行からどのような資料提示を要求されたか?
実際にどの資料を渡したのか?
経営者以外の方が銀行との折衝をしている場合は、
自分の目と耳で、確認しておいてください。
衝撃の事実が発覚するかもしれませんよ。
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